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第2話

顔の整ったお兄さん
1,065
2020/06/07 04:10
「ふぁあ〜ぁ...眠い...こーち...」

「大我本当に大丈夫か?絶対昨日徹夜しただろ...」
だってレポート終わんなかったんだもん。
「お前そこまで体強い方じゃないしもう帰った方が
いいんじゃね?」

「む〜...そうしようかな...」

「帰るんだったら俺から伝えておくから。あんま無理すんな」

「こーちありがと〜...今度ラーメン奢るわ...」

「そこは焼肉とかだろ」
ただこーち頼む。寝不足だから帰ったって事は
言わないでくれ。頼むから。

なんか体調悪いからみたいな感じで伝えておいてくれ。
「じゃ、こーち頼むわ。俺帰るね。」

「おう。ちゃんと寝ろよ。」

「わかってるよ。」
やっぱなんだかんだ言って髙地って俺に甘いよな。
さっすが俺のソウルメイト。(?)

...ということで、俺は電車に乗り、最寄り駅で降りる。

歩いてると、立ちくらみがずっと続いている様な感覚に
歩くのが困難になる。やっべぇ...めっちゃクラクラする...。
家まではあと10分くらい。頑張れ俺...
...が、しかし突然目の前が真っ白になる。



あ、これヤバいやつだ、絶対そう。

体から力が抜け、そのまま前に倒れる。


「ドンッ!!」と体を強く打ち付ける音と固く冷たいコンクリートに頬を押し付ける触感の中、俺は意識を手放した__






















「ん...」
目が覚めるとそこには、見知らぬ天井、見知らぬソファと
見知らぬブランケットにくるまっている俺。


...いやいやいや待て待て待て。

ちょっと待て。


「ここ...どこ?」
思わず声を発する。

え、なに、誘拐...?
しかも体めっちゃくちゃ痛てぇし!!
って、それは俺が倒れたからか...



「あ、起きました?おはようございます、」

「ひ、っ、だ、だれ?」
後ろから声がして、咄嗟に振り向く。

するとそこには__
「驚かせてしまってすみません、松村北斗っていいます。」
重ための黒髪で顔の整った、松村北斗と名乗る人物が
マグカップを持って立っていた。
「ほくと、さん?」

「はい。...びっくりしたんですよ、
歩いていたらいきなり人が倒れたんですから。」
家近かったんで連れて来ちゃいました、なんて笑う目の前の
北斗さん。笑った口元からちらりと犬歯が見える。
「そう...だったんですね、すみません、失礼な態度を取って」

「いえいえ、そりゃあいきなり話しかけられたらびっくり
しますよね。こちらこそすみません。」
礼儀正しい人だな...多分北斗さんの方が年上...だよね...?
「あ、そうだ、これ...ココアいれたんですけど...のみます?」

「えっと、はい。いただきます。」
すると、北斗さんは持っていたマグカップを目の前の
テーブルにコトッと置く。
「じゃあこれ、飲んでください。」

「ありがとうございます...何から何まで...」

「いえいえ。お気になさらず。」
めっちゃいい人だな...なんだか申し訳なくなる。
温かいココアを飲んで、心も温まった気がした。





そんな風にほわほわしていた俺は、北斗さんが後ろでニヤリ
と不敵な笑みを浮かべている事に気が付けなかったのだ。

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