珍しくえいちゃんからじゃなく
そらから電話がかかってきた。
「もしもし?」
いつもと変わらないcall音なのに
少し切羽詰まったような
焦りのようなものを感じた。
S 「あ、あなた…」
私の名前を呼んだそらの声は
どこか安心したように聞こえた
「どうしたの?」
S 「えいちゃんが、、、」
S 「波にのまれた…」
「え?」
自分の声が硬くなり
鼓動が早くなっていってるのが分かった。
S 「えいちゃんの実家行って欲しい」
「……分かった」
S 「みっくんにもそう伝えといたから、お願い」
「……」
そうして電話は切れた。
親にこのことを言う前に
えいちゃんの家に向かって走った。
幼なじみだからそんなに距離はない。
えいちゃんの家に着くと
門の前に放心状態のみっくんとえいちゃんの家族がいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!