第13話

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2021/10/20 07:49


竹内さんと一緒に体育館に移動すると、もうアップが始まっていた。




ボールが床に当たる音、バレーシューズと床が擦れて鳴るキュッという音。






久しぶりに聞く音に、心が高鳴った。











竹内淑恵
…あなたちゃん、もしかしてバレー見るの久しぶり??
桜田あなた
…あっ、はい!!そうです!!
竹内淑恵
やっぱり。笑笑
すごい見入ってたわよ笑笑
桜田あなた
あっ、すみません…!!!
竹内淑恵
いいのいいの笑笑 バレー見るの久しぶりだろうし、最初の方はマネージャーの動きとか見ててちょうだい!後々一緒にやりましょう。
桜田あなた
はい!ありがとうございます、お願いします!




久しぶりに見る、藍のバレーをしている姿。
久しぶりに見る、有志くんのバレーをしている姿。












今この場でこの景色を見れていることが、夢のようだ。











監督
一旦休憩。3分後再開するぞー。


「「はい!!」」





監督の声がかかると竹内さんは選手達のタオルを配り始めた。







ドリンクも渡し、モップがけもしている。





選手達に声がけもして、マネージャーであってもチームに参加する仲間として一心同体になっている。





気づいたことはいつもポケットにしまっているメモ帳に書き込み、今後のために活かす。






髙橋藍
なーに書いてんの
桜田あなた
ら、藍!!
桜田あなた
これは秘密…!!




なんとなく、見られたくなかった。





恥ずかしいのか、なんなのか。





周りに迷惑をかけないように頑張らなきゃいけないと思い、まとめ始めたメモ帳。







地道な自分の努力を他人に見せるのは何か違う気がして。





髙橋藍
なんだよ〜笑笑
髙橋藍
…あなた、緊張してるでしょ
桜田あなた
…え?
髙橋藍
全員優しいから大丈夫。何も心配しないで。俺いるしさ、頼ってよ。
桜田あなた
…ありがと!



藍がそう声をかけてくれたおかげで、少し肩の力が抜けた気がした。




柳田将洋
藍〜…あ、ごめんなんでもない…




こちらにきた柳田さんが私の姿を見るなり去っていってしまう。





桜田あなた
…私、柳田さんに嫌われてるのかな
髙橋藍
え?あー。違うよ、大丈夫!
桜田あなた
だって私、初めて会った時から嫌そうな態度とられてた気が…
髙橋藍
大丈夫大丈夫、柳田さんはクールなだけで本当は優しい人だから
桜田あなた
本当に…?
髙橋藍
ほんとほんと、そのうち分かるよ
監督
練習再開するぞー



「「はい!!」」
髙橋藍
よし、やりますか。
髙橋藍
じゃ、
桜田あなた
頑張ってね藍!
髙橋藍
おう!



親指を立てて笑顔で走っていく藍。














その姿が、やけにキラキラと見えて。





















中学生の頃を思い出した。

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