生まれつき、私の顔には大きな痣があった。
そのせいで両親には捨てられ、私は孤児院で育った。
その孤児院というのがまた酷いもので、
私はこの顔のせいで軽い虐めのようなものを受けていた。
おとなは誰も助けてはくれない。
だから頼らない。
私は、優しいから。
そんなある日、私には好きな人ができた。
こんな私が好きになっていい相手ではなかった
クラス、、いや、私が通っている学校で1番と言っていいほどの綺麗な顔立ちに、性格もとても優しく、人気者だった。
だからこそ、毎日鏡を見る度に思う。
なんで私ばっかり、、、、
神様、どうして私の顔だけ、左手で描いたのでしょう???
…ただの気まぐれか、私に試練を与えようとでも云うのか。
きっと、私に好意なんて持たれても彼は困るだろう。
ラブソングのように、必ず両想いになれる魔法が掛けられていたらどれほどいいだろう。
そう、何度願ったことか。
だが、現実は、この世にあるラブソングは
どれひとつ私向けなんかじゃない。
もう辞めよう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。