第46話

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2018/12/28 11:50
冷たい空気がおおうモノトーンで統一された部屋 
その部屋の中央に置いてあるソファに2つの影は寝っ転がるよう抱きあっていている。

互いの体温が伝わって 寒いとは感じることを忘れむしろぽかぽかと心地いいとすら感じる だからか時間の感覚を忘れてしまう

既に夕日は沈み 月明かりだけが照らすこの部屋に二人分の小さな呼吸音が聞こえる

ぶるりと腕の中にある体が震えたのを感じ
(さすがに寒くなってきたな)と思い大志はソファの背にあるタオルケットをと片腕でとり自分と紗季の体にかける。
するとビクッと少し動いた彼女は大志のシャツを握る手に力を込め彼の胸板に頭を擦り付ける
大志には自分の家のシャンプーの匂いと紗季の匂いを感じながら彼女の頭に頬をつけ背中を撫でる







それから暫く過ぎれば下から小さな寝息が聞こえてくる。
それを確認すれば大志はそっと紗季を起こさないように細心の注意を払いソファから体を起こす。立ち上がろうとフローリングに足をつければその冷たさにぞぞぞと肌が栗立つのを感じ、(さみぃな) と他人事のように受け流し、そっと立ち上がる。

棚の上にある救急箱持ってくるとソファの前にあるテーブルの上に置く
中にある塗り薬と包帯と大きめの絆創膏を取り出し
紗季の腕や肩、首元に処置していく 出血していたところはもう瘡蓋となっているのもありそこの上にもまた掻きむしらないようにとガーゼを上からあてた

首元の傷を見た時に胸がぞわりと感じたものを無視しそこに口づけをしその際に小さなリップ音を響かせそっとガーゼをあてた

首元に指がさわりと触れれば「ん、…んぅ」と身を捩り「…たいし」と寝言を言い口角を上げた。 良かった。うなされてはいない事を確認し抱き上げ寝室に連れていった


できるだけ慎重にとベッドに紗季を寝かせ、布団をかけてぽんぽんと頭を撫でる。
ベッドサイドある自分の充電中のスマホに目をやると

燐夜からメッセージが届いているのが確認できて(仕事はやいな)と思いこれから起こることを想像し無意識にも口角が上がっていった







誰も少年の歪でいて綺麗な笑みに気づくものはいない

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