『じゃーねぇ!学校楽しんで。あ、迎え来るから連絡してね。愛しの マイーーーー・・・』
「はぁ?迎えとか来なくていいから!」
バタンッ 、車のドアを勢いよく閉める紗季。
あ? 紗季が男の車から降りて、あの男『愛しの』とか言って。
ああ_ 気持ちわりぃ。
この気持ちが独占欲からくる嫉妬であるのは分かる。紗季が男に呼び出されるときと同じ……いや、それ以上の。
あんなちっぽけな物の比べ物にならない程
いろいろな感情がごちゃごちゃになってる。
"俺の紗季が奪われた"この文字が脳内に過ぎる
視界の端に移る 疾風は震え上がっていた
「お、おい、ちゃんと話し合えよ?」
『あぁ、じっくり話し合わないとな。』
「ひえっ〜」
俺らが話している間も紗季は学校に向かって歩く 艶やかな黒髪が揺れて
それだけでも男共は振り向いてか頬を染める。
そいつらをぐちゃぐちゃにしたい衝動にかられる。
もし、紗季が別れたいと言えば・・・俺はどうなるのだろうか
俺は…離さない。気持ちがなくてもずっと繋いで、閉じ込めておくだろうな
そんなことを考えながら歩いていけば 口角が上がるのを感じた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!