第5話

Fear #05
3,168
2018/07/16 13:13
秋山眞子
ふぅ…。(視線を感じて振り返る)
藍沢
藍沢
(眞子と目が合う)…。何だ。
秋山眞子
ねぇ?…付いてきてる…?
藍沢
藍沢
行く方向が同じだけだ。
秋山眞子
ふーん。そう。
藍沢
藍沢
お前少し休んだらどうだ。
どうせ今日も徹夜になるんだろ。それにあの話をしたあとでもある。また倒れたりでもしたらどうすつもりだ。
秋山眞子
なに。心配してくれてるの?
(少し顔をしかめて考えて)あ、いや、倒れたら迷惑なだけか…!(笑う)
大丈夫だよ。ただでさえ救命人足りてないんだからそんな簡単に休んでられないって。
藍沢
藍沢
(ため息をつく)相変わらずだな。
とりあえず無理するなよ。そんな丈夫な体じゃないだろ。それに…
ーホットラインが鳴るー
秋山眞子
…!
藍沢
藍沢
翔北救命センターです。
消防
港消防よりドクターヘリ要請。
橋の上で車がカーブを曲がりきれず横転、炎上しているとのことです。また、横転した車で道路が塞がれ数台の車が玉突き事故を起こした模様、負傷者多数います。出動できますか?
藍沢
藍沢
ヘリ飛べるか?
秋山眞子
(CSと電話してる)大丈夫。飛べる。
藍沢
藍沢
出動します。
藍沢
藍沢
白石。タッチアンドゴーになるかもしれない。
白石
白石
わかった。状況わかり次第連絡して。
タッチアンドゴーだったら次の便で緋山先生と名取先生と雪村さん、その次に藤川先生と眞子ちゃん行って。わたしと灰谷先生と橘先生はここに残ります。
緋山
緋山
了解。
橘
処置室準備しとけ〜!
藍沢
藍沢
横峯、冴島、行くぞ。
冴島
冴島
はい。
横峯
横峯
はい!
秋山眞子
…。(胸のあたりを押さえてる)
雪村
雪村
秋山先生…?
緋山
緋山
どうした?大丈夫?体調悪い?
秋山眞子
…いや、ごめん。大丈夫…。
藤川
藤川
ホントに?あんまり顔色良くないよ。
橘
秋山、無理する必要はない。
少し仮眠室で休むか?
秋山眞子
いえ。大丈夫です、すみません。
ーそれぞれ準備に取り掛かるー
白石
白石
(小声で)ちょっと、ホントに大丈夫?
何かあったの?やっぱり顔色あんまり良くないし…。
秋山眞子
うん。何か嫌な予感してるだけ。
気のせいだといいんだけどね…。
白石
白石
嫌な予感って…。
藍沢
藍沢
(無線で)白石。かなり負傷者が多い。タッチアンドゴーするぞ。5分後にヘリ戻る。
白石
白石
(無線で)わかった。
白石
白石
緋山先生、名取先生、雪村さん。5分後にヘリ戻るから現場向かって。
緋山
緋山
OK。
名取
名取
わかりました。
緋山
緋山
雪村、バックもう1つ持ってきておいて。
雪村
雪村
わかりました。
秋山眞子
…。(胸のあたりを押さえて顔をしかめる)
白石
白石
眞子ちゃん、ホントに大丈夫?
私が代わりに行ってもいいんだよ?
緋山
緋山
(振り返って眞子を見て)…大丈夫?
秋山眞子
…大丈夫ごめん。緋山先生行って?
緋山
緋山
わかった。無理しないで。(ヘリ向かう)
秋山眞子
…ちょっとなんか飲んでくる。(飲み物を取りに行く)
白石
白石
…あっ。(心配そうに見てる)
関係ない。今日の事故とあの事故が関係あるわけがない。…でもなぜか嫌な予感がする。胸騒ぎがする。胸が締め付けられるような感じがして息苦しい。
でも現場に行かないわけにはいかない。救わなきゃいけない命がある限り。
もうみんなにも心配かけるわけにもいかない。しっかりしなきゃ。切り替えなきゃ。
秋山眞子
…。(胸を押さえて深呼吸する)
行かなきゃ…。

プリ小説オーディオドラマ