…あれからどのくらいの時間が経ったんだろう。
暑い…。とにかく一刻も早くここから離れなきゃ。
でも何かあったらと思うと下手には動けない。
今ここに一緒にいる女の子、しおなちゃん。
爆発が起きる直前、泣きながら両親を探してたところをたまたま見つけた。爆発の瞬間とっさに覆いかぶさってかばったけど、爆発で破壊された車の破片が近くに飛んで来ててしおなちゃんを連れてこの場を離れるのは難しい…。
それにしおなちゃんに熱中症の症状が出てる。早くしないと…。
…情けないな。なにもしてあげられない上に私が体調あんまり良くないの気づいてるみたいで心配されてるし…。
ー爆発現場から300mほど離れた場所でー
消防と救急隊員の声が遠くで聞こえる。
もう爆発は起きないのかな…。何もわからない…。
誰か…。お願い、誰か来て…!
…あれ。この声って…藍沢、先、生…?
ごめん、ごめんね。迷惑かけて…。
ありがとう、助けに来てくれて…。
信じてたよ。絶対来てくれるって…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!