藤井side

俺の好きな人。


それは、結ばれてはいけない人。

彼。

日本でも同性婚の許されて数年、

慣れてないっぽいけど、

彼もその1人。

大切な人がいるのに、
俺なんかにそんな顔見せていいの？

ねぇ、俺だけを見て、

強がって苦いコーヒーを飲もうとして。

こんな顔、他に見せてないよね？
もちろんそうだよね？


子供みたいな強がり。
愛しくて、困る。

ただのしがない会社員の俺が、
彼と出会ったのは、
数年前。

それこそ、
まだ日本の同性婚の訴訟が通ってなかった時。


当時の同僚だった。

どちらからともなく告白して、
付き合って。


なのに。


あっちが横槍だったのに。




あなたを独り占めしたい、
その笑顔は誰にも見せないで？

LINEは一方的で。
愛はそうでは無い、って分かってる。
彼の旦那さんにバレないように、
素っ気ない。


俺と二人きりの時は、甘くくっついて。
ただのカップルにしか見えないくらい、
俺らは愛し合ってるのに。

たかが結婚で。
順番的にも俺がいつも1番だった、
なんてね。

大人気（おとなげ）ない。

でも、好きなのはどうしようもない。
止まらない。


この関係でいい、これが一番いい。




名前のない関係にすがりついてた頃と違って、
今は立派に不倫、て言える。

ただ、それだけが嬉しい、






なんて。平日なのに会って。
友達のフリして、
それに慣れるくらいになってしまって。

高層マンションなんて買ってもらって。
いつか仕事はやめ、
飼い慣らされてしまった君を、
助け出すことも無い。


俺は、家に呼んで彼を癒すことしか出来ない。


旦那さんは今、外国に出張だって、


俺は、2人の関係より、俺の方がいい、

なんて都合のいい妄想して。

愛してたい、それだけ。

ただ、好きな人に笑って欲しくて、
泣いてて欲しくなくて、
寂しくなって欲しくなくて、
彼の中の1番なはずだけど、
俺だけじゃないって確信したくて。

そんなこんなで、
家に見合わない大きなベッドに押し倒す。

まつ毛が長い。見つめる目が愛しい。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…

けたたましく鳴り響く携帯の音。

ムードをかき消され、多少の苛立ち。

どうせ、旦那さんでしょ、
今くらい、忘れて。

続き、しようか、

ことが終わると、
彼は最終電車で帰っていく。

雨が降りしきる。
彼も雨に打たれたその1人で、
シャツが濡れに濡れる。

2人で濡れて歩いた、

これが、不倫でなければ。



美しい君を見ていることが、
許されていれば。

電車に乗り込む君を、引き止める。



ことが、出来なかった。

1週間くらい、会えなかった。

仕事、なんか、


都合の合わない
言い訳にしか過ぎないかもしれない 。



感情が出てしまうのが怖かった、
のもあって。


好き、て、言えてない。

何も言わず、



玄関先で抱きしめてキスをした。




長く、長く、永遠に続けばいい、
なんて思って。

頬を涙が伝っているのは分かってた、

許された時間なんて、
もうとっくに壊れてた、

でも、俺はすがりつきたい。

傘もささず、あの人同じように濡れてきた、

素肌のような質感に、また抱きしめたくなった。

君を愛してるだけで、
自分の気持ちが分からなくなっていく、

君を好きってことしか、それだけしか。

押し倒し、
濡れてしまっているシャツを脱がせる。

その声、誰にも聞かせたくない。




体を重ねつつも、

まだ考えてしまって、気が滅入る。


君のことを考えすぎて 、

最終的にはお互いを考えて 。




俺が 、1番でいいじゃん 、



俺は、昨日別れたんだ 、

そう 、君のために 。






結婚してた 、てこと 、言ってなかったね 、


壊れていく、ただ、君しか考えられない、

俺は止められない、
俺らは止められない。


止められたくない、てのも、あった。

中間side

堕ちていった、ただ、
流星のことだけを思って生きている。

いつくらいからだろう？
ずっと昔から。

ゴミ箱、見たんだけどね、
ずっと、気づいてたんだけどね、

流星は結婚してたよね、？
俺に黙ってたけど、
同居まではしてないけど。

じゃあ、なんで捨ててあるの？
大切な人、居ないの？

確信していいかな、
俺、流星だけが好き。

旦那なんて、ただの金づるだった、


首に残される跡。
こんなもので、愛されてるって思った。


じゃあなんで、君は、
寂しそうに薬指を見つめるの？






ねぇ、こっちへおいでよ、
少し言いたいことがあるんだ、
もう君も分かっているかな？
ちゃんと、聞いていてね、？







end


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