第7話

企んでるみてぇな
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2019/01/06 11:26
校内の掲示板に張り出されているクラス表を叶と見上げる。

私は1組か……。叶は何組だろう。同じじゃないといいんだけど……。

「お前も1組か」

叶がぼそりと呟いた。

聞き間違いであればどんなによかったか分からないが、あいにく私は耳がいいことを自負している。

表情筋が一瞬、働きを停止した。

「え゛……“も”ってことは」

叶がニヤリと悪役感満載の笑みを浮かべる。

「名前前後なのに気付かなかったのか?ヨロシクな、佐藤、、さん」

「!!」

即座にクラス表を見直すと、確かに「佐倉」と「佐藤」が1組の名簿にあり、しかもその二つは縦に並んでいた。

き――気付かなかった……!自分の名前探すのに夢中で……。アホだわ。

「つーことで行くぞ。クラス」

「え、ちょっ……ま、待って!!」

一人で行くのはなんとなく寂しいので、慌てて叶を追いかける。


その時の私は、まだ何にも気付いていなかった。



ーーーーー



教室に入り、黒板に張ってある座席表を見る。

やはりというか出席番号順で、私はがっくりと肩を落とした。

「お前、俺の前なんだな」

「そうだよ……えっ、何その笑み、何するつもり?」

「なんだその言い方。まるで俺が何か企んでるみてぇな」

「実際そうでしょ!?授業中にちょっかい出してきたりしたら許さな――」

突然ぐっと腕を引かれ、叶の胸にダイブさせられる。

男子とこんな体勢になったのは初めてで、いきなり何と思いつつちょっとドキドキしていれば。

「邪魔になってたぞ、お前」

「……は?」

苛立ち混じりの疑問の声を上げる。

「ずっとあそこに立ってたら他の奴が座席表見れないだろ、考えろ」

そう言われて、我に返った。

振り返れば、私がさっきまでいた場所に立って自分の席を確認する人も見えて、私は反省した。

一つのことに意識が向いてたら他のことが見えなくなるところ、直さないとなぁ……。

「ごめん。ありがと」

言い終わってからハッとした。

また“貸し”って言われる!!バカ自分……くそっ、今日は2つか……。

「あぁ」

「……え?」

「あ?なんだよ」

「い、いや!!」

あれ?「貸し2」ってあの悪い顔で言わないの……?

てことはまだ貸し1!?やった!!

私はるんるん気分で席に着き、予鈴を待った。


ふ、と叶が口元を緩めて笑う音は、のどかなチャイムにかき消される。

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