よっしゃ放課後!藍と帰ってそのままゲームしよっと!
「佐藤さん、ちょっといい?」
一階に下りた途端、三年女子たちが私の行く手を阻み、トップのあの人が鋭い目つきで言ってきた。
楽しい予定が崩れ去った瞬間だった。
私は内心ビクビクしながら、精一杯の勇気を出した。
「すみません、藍と帰る約束してるので、先帰ってって言ってきてもいいですか?」
「……そういえば高崎くんともだったね。言うなら早くして」
「は、はい!」
こーわー!藍に言ったついでに帰りたいわ!!
だが他ならぬ三年女子の監視下で動いているので、それはできそうにない。大人しく、言うだけにしよう。
「藍!」
下駄箱に背を預けて待っていた藍が私の声に反応した。
こちらを見て、藍は何かを言いかけたが、かぶせるように私が話したので聞こえなかった。
「ごめん藍!先帰ってもらっていい?用事ができちゃってさ」
「……いいよ。帰ってきたらゲーム誘って。俺、自分の部屋にいるから」
「おっけ!ありがとー!じゃ!」
ダッシュで三年女子のところに戻る。
「言ってきました」
軽く息を切らしつつ報告。
腕組みして威圧的に見てくるトップがマジで怖すぎる。
「ついてきて」
トップを筆頭に、三年女子軍団がどこかへ歩き出す。
「っはい」
はぁ……やだなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。