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2019/03/24

第17話

#16
時が止まってしまった気がした。

伝えてから、伝えた意味はあったのか、と頭を悩ませた。

それでも、この気持ちは無かったことにしたくなかった。

一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
えっと……
先輩が戸惑ったように口を開く。

先輩が次に紡ぐ言葉を大人しく待っていることは出来たけど、

どうしてもそれをすることが怖くて、私は口を開いた。
あなた

いきなりこんなこと言われてびっくりしましたよね、ごめんなさい

先輩の目を見るのが怖かった。

でも、それと同時に先輩を見つめることが出来るのも最後なんだと思うと、見ていたい気持ちもあった。

複雑な思いが私の頭をグルグルする。

そんなことを考えていると、先輩がゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
ありがとう。
頭の上から降ってきたその優しい声に吸い寄せられるかのように頭をあげる。

先輩は真剣な顔をしていた。

真面目に聞いてくれて、真面目に答えようとしてくれていた。

どこまでも、優しい人すぎて本当に困る。
一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
憧れ…とかそういうふうに思って貰えてたのとか、ほんとに嬉しい。
先輩の言葉一つ一つが私の心に深く刺さる。

先輩が喜んでくれたなら伝えて良かった、なんて思うのはバカなのだろうか。

それでも、先輩の優しい笑顔を見て、そんな気持ちになってしまった。
一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
だから、その……ね。
先輩が言いずらそうに口をパクパクさせている。

分かっています。なんて、知ったように話したくはなくて。

結末を知っていたとしても、先輩の口から直接聞きたかった。

だから私は、深く息を吸って、先輩を見つめた。
一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
ありがとう。ほんとに。
一ノ瀬涼
一ノ瀬涼
俺を好きになってくれて、ありがとう。
先輩はそう言って私に再び視線を向けた。


肯定も否定もしない。

それが先輩の優しさであり、

優しい先輩が出した"答え"。

つまりは……そういうこと。
あなた

はい。

私は、溢れそうな涙をグッと堪え、

先輩に笑顔を向けた。