ー高校1年生の冬
母「どうでしたか..」
医者「なんとも....」
医者の顔は深刻そうだった生まれた時から病弱だった私はここの病院にはよくお世話になっている この先生"田口先生"にはとくに
あなた「わたし..死ぬんでしょ」
母「..! 馬鹿!そんな訳ないでしょ 治る可能性だって十分にある病気なんだから !」
母はきっと私に死を痛感させたくなかったんだろう必死に私を撫で抱きしめた
でも顔こそ見えなくても私の背中が涙で濡れている
ずっと願ってきた 今日は朝から緊張しっぱなしで 今答えが私の手に渡ろうとしている
知りたくない..。
お父さんが出張ついでに家に戻ってきて見舞いだと渡してくれたゲッカビジン
私の年齢の数だけあったゲッカビジン
1本毎日花占いをしていた
"生きる”
"死ぬ”
"生きる”
"死ぬ”
"生きる”
"死ぬ”
"生きる”
"死ぬ”
最後の1輪
"生きる”
(あぁ、神様、私は...)
田口先生「残された期間は..少なくとも11ヶ月です...」
余命宣告
あぁ、なんだ、、外れちゃったね
ゲッカビジンの嘘つき
そっか死ぬんだね
死ぬ..?
私
死ぬの?
あなた「っ....」
途端に私の体重を支えているもの全てが崩れ落ちるような まるで重力が全て自分に降り掛かったかのように椅子から滑り落ちた 身体が動かない 重い 頭が 手が 首が 目が 心臓が なにも考えられなくなった
[ 11ヶ月 ]
私に残されたのはこの短い期間だけ
と言っても最後の一日まで元気で居られるわけがない
きっと倒れて
動けなくなって
髪も抜けて
喋れなくなるんだ
そして..
あなた「いや..だ....」
大粒の涙が零れ落ちる
あぁまったく
ついてない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!