少しの沈黙__。
私たちは思わず顔を見合わせて笑った。
そう、この笑顔。
顔がクシャクシャになるくらいの素敵な笑顔。
私は何故か少し照れる佐藤くんを見て、思わず笑ってしまった。
驚きと恥ずかしさで一気に顔が熱くなる。
また、その笑顔…。
佐藤くんには、ドキドキさせられっぱなしだ。
「トミー」と呼ばれた佐藤くんの容姿と真逆の彼は、少し手を挙げながらこちらへ歩いてくる。
その、なんていうか…
怖い。
2人はさっきと同じように、仲良さそうに挨拶を交わしている。
「トミー」と呼ばれた大柄の青年が、私を見て大きく驚いた。
そう言うと、トミーはニカッと笑った。
思ったより、悪い人ではなさそう。
むしろ、優しそうな人だな。
よかった…。
チャイムが鳴ると同時に、担任の先生らしき人が教室に入ってきた。
トミーが「あ、やべ」なんて言いながら教室を慌てて出て行くのを横目に見ながら少し笑っていると、佐藤くんと目が合った。
佐藤くんが、ふわっと笑う。
私も、自然と笑みがこぼれる。
こうして私のJK lifeが幕を開けた__。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。