『 ごめん 、起こした 』
彼女は気付いていた 。 俺が泣いていた事に 。
俺があなたに 謝ってたとこも 。
は !? え !? 嘘だろ !?
『 聞いてたのかよ 、』
「 ふふ 、ごめん 、苦しめてたね 」
違う 。 違うよあなた 。 悪いのは全部俺 。
俺がちゃんと してなかったから 。
『 違う 、 苦しめてたのは 俺の方 』
「 無理しないで宏太 。 」
呼び方が変わった 。 こーた から 宏太 に 。 これは真面目に話したい時に使う言い方 。
今こそ 言うんだ 。 あなたに 。 ごめんって 。 謝らなくちゃ 。 このまま 流れていけば 一生このままだと思う 。
『 ごめん 、あなた 。 いつもいつも頑張ってくれてるのに気付けなくて 。 朝早く起きてるのも俺のため 。 夜遅くに洗濯物畳んでるのも知ってる 。 ついでにアイロンまで 。 しっかりしてるよあなたは 。』
「 ありがと …… 、」
『 でも 、弱味を見せないところはダメ 。 俺 、鈍感だから気付けない 。 まさか 無理してるなんて思わない 。』
「 いや …… 無理なんて …… ! 」
『 してるでしょ ? 顔が引き攣ってる 。 それに 自分の事後回しで服も適当になってる 』
結局 、あなたを責めることになってしまっている 。
どう言ったらいいんだろう 。 無理すんなって 。
無理すんなって言っても 絶対素直になんて聞いてくれない 。
そうだ 。 言ってみればいい 。 伝わるまで 頷くまで 言い続ければいい 。
『 あなた 。 お願い 。 あなたが無理してんの見てられない 。 やってる事が無駄とかそういう意味じゃない 。 ただ 、あなたには 自分らしく生きて欲しい 。 家事におわれて1日終わって 、 疲れて 。 いつか倒れるよ ? だからさ 、お願い 。 もう 、無理しないで 』
「 ふふ 、ありがと 。」
『 無理しない …… ? 』
「 ん! しません 。 誓います !! 」
『 やった ! 』
「 じゃあ 、お手伝いよろしくね ! 」
『 え 、』
嬉しい半面 仕事増えた 、
でも 。あなたのために 今日から 頑張ります 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。