椅子に遠慮がちに座ってるあなたさん 。 可愛い 。
ここね 、僕が小さい頃から通ってるお店なんだよ 。 ほんとに美味しくてさ 、社員全員連れてくるのが 密かな僕の夢でもあるんだ 。
さっきから 、 静かなこの部屋 。 そうなるよね 仕方ない 。
『 あなた さん 』
「 はい っ ? 」
『 敬語ダメ 。』
「 ええ 、 知念さんって社長でしょ ? 」
『 名前呼んでるとこで 、 社長の概念なくなってると思うけど ? 』
しまった 、 そんな顔で見てくるあなたさん 。 そういえば 、あなたさんは僕のこと 侑李って呼んだもんね 。
じゃあ 、お返ししよっと 。
『 あなた 』
「 …… 、 ふええええ !? 」
『 何その 驚き方 。 変なの 』
「 だってだって 、呼び捨てするから …… 、」
敬語 使わなくてよくなったみたい 。 やるじゃん僕 。 にしても可愛いなああなたって 。
なんかこう 見た目が 美少女って訳でもないんだけど可愛いんだよね 。 おっちょこちょいだからなのかな ?
ふと 、 ある思いが僕の中を駆け巡った 。
『 好きな人 いる ? 』
つい言ってしまった言葉 。 普通 こんな事聞いても のー と 答えられるだけ 。 今までもそう 。 いる ? って聞いても のー って言われて 、喜んでたら 彼氏と一緒にいるとこ見ちゃって 。
あなたにいなかったら 嬉しいな 。
僕にもチャンス あるかな ? なんて 。
「 可愛いんですね 、 社長 。 」
『 ん ? 』
「 いますよ 。」
『 そっか 、』
ガッカリした 。 今までで1番 。 勝手にいないって思ってた自分がいたから 。
チャンスあるとか考えてた事がバカみたいで 。
今すぐここから 出ていきたかった 。
『 ごめん 、 トイレ 』
「 ふふ 、嘘だ 。 気まずいからでしょ ? 」
何この形勢逆転 。 立場交代したの ? 僕 。 てか バレてるし 。
余計に気まずいな 。 僕が誘ったのに出ていくわけにはいかないしな 。
「 補足 」
『 なに 、僕を励ますための ? 』
「 違います 。 逆です 。」
『 泣かせるための ? 』
「 んー、 分かんない 」
『 何言ってんの ? 』
「 ふふ 、補足 。 目の前に 私の好きな人はいます 。」
目の前 …… 、
え、僕 ?
僕 …… しか いないよね ?
ほんとに 僕 ? そんな事ありえるの ? 泣くよ僕 。 大きな声で泣いちゃうよ ?
「 ふふっ 、侑李って泣き虫 」
『 うるさい 。 方向音痴 』
「 あー 、酷い ! 」
僕は幸せです 。
彼女は嘘をつくような人じゃありません 。
『 僕の彼女 なってくれますか ? 』
「 よろこんで 」
『 やった!!! 僕だけのあなただもん 。』
「 はやいよ それ言うの 」
『 いいもん ! ずっと言うもん ! あなたは僕の !! 』
あなたがくれた 最高の プレゼント 。
1番嬉しい 、1番印象深い プレゼント です 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。