第2話

Moon night ( 山田涼介 )
393
2019/10/01 10:16



こんな寒い中 、薄着で現れたその女性は 髪の毛がショートの身長がとても小柄な方だった 。



手を擦り合わせている 。 まあ、魔法使いでも寒さは感じるだろうなと 内心笑っていた 。


「 どなた …… ですか ?  警察呼びますよ …… ?」


『 ちょ、ちょっとまって 、警察はダメです !! 』


「 じゃあ、出てって下さい 。」


『 それもダメです 。 命令を受けてここへ来ました 。』


俺は断じて命令などはしていない 。 って言うか 、依頼もしてないけど 。 はっきり言うけど誰この人 。 困ってないし俺 。 仕事でうまくいかなかっただけだから 。


こんな女性 家にいたら 絶対勘違いされる 。 出ていってもらわないと 。


「 すいません 、 俺 、鍋食ってるんで 、 帰ってください 。」



なんともくだらない理由だ と 頭では何度もつっこんでいる 。 鍋食ってるってなんだよ 意味わかんねえ 自分で言ったくせに と 苦笑いしてると 、 女性がいないことに気が付いた 。


あんなくだらない理由で帰ってくれんだ 。 案外 楽なもん 。 そうほっと肩を撫で下ろした 。


『 あ、この鍋ですか ? 美味しいですね !! なに入れてるんです ? 』


「 はあ !? 勝手に鍋食うなよ !! マジで警察呼びますよ !」




勝手に 俺の美味しい鍋 食いやがって 。 許さねえ 。何なんだよこいつ 。 苛立ちがそろそろ抑えられなくなるって時 、 女性がこちらを向いて話し始めた 。



『 命令を受けました 。 山田涼介さん 。 あなたを幸せにする様にと 。』


「 俺を 幸せに …… ? あなたが ? 」


『 はい 。 なんでもします 。 ざっと言いますと 、私 、未来人なので 、 あなたの将来一応知ってます 。』


「 え、ちょっとまって 、 俺の将来知ってんの ? 」


『 はい 。 お伝えする事も出来ますが 。 』


「 俺が …… 、 将来 、 どうなるっていうんだよ 。」




正直な所 不安でしかない 。 こんなやつの将来なんて想像するだけで恐ろしいものだ 。 ニート か 、ゲーセン生活してるか 。 もしかしたら 、盗みとかやって刑務所いるか 。


いや 、未来の俺 、 刑務所はやめろよ絶対 。



女性は ふう と 息を整え 、 改まってこう言った 。



『 申し上げにくいですが ……  、  あなたは “ 自殺 ” します 。 明日 。 』


「 明日って …… 、 なわけないじゃないですか 、俺 死ぬ気なんてありませんよ ? 」


『 今日の仕事の失敗 。 実は会社を破産させます 。 バッシングを浴び 、あなたは死んでいます 。 未来 では 。』





女性の新雑な言葉が心へと グサグサと刺さっていた 。



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