遥ちゃんと
「桜ヶ丘高校に合格して必ず会おう!」
って約束して、なんとか合格した私は、
桜ヶ丘高校の入学式に出た。
遥ちゃんは、いないかとキョロキョロ
していると、小四から仲のいい結衣が
「遥斗くんのこと、探してんのー?」と
ニヤニヤしながら聞いてきた。
図星だった私は少し間を置くと
「· · ·別に遥ちゃんが合格してるか
分からないし、探してもこの人混みの中
見つけ出せっこないし!」なんて強がって
言ってしまった。
結衣は、それをみてケラケラと
お腹を抱えて笑って「お前、ツンデレで
可愛いなー!」なんて言って頭をぐしゃぐしゃ
してきた。
「それにしても、あの子がこんな約束する
なんて、脈アリなんじゃん?」って
結衣に言われた時、正直私ももしかしたら· · ·なんて、期待していた。
「ねぇ、あの人!めちゃくちゃかっこいいじゃん!」
下駄箱に近づくと周りの女子達は
コソコソと何処ぞのイケメンをみて、
キャッキャッと騒いでいた。
女子達の視線の先には無邪気な笑顔で
楽しそうに話してる遥ちゃんらしき人が
女の人といた。
「え、ねぇアレって遥斗くん?」
結衣も、気づいたのかコソッと耳元で言った。
「た、多分そう。あの笑顔· · ·
遥ちゃんの面影そっくりだもん!」
だとしたら、隣にいるのは· · ·
誰?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。