第23話

第二十章 〜紅色の話はこれでお終い〜
481
2021/07/03 11:00
どうやら、今まで空の色が見えなかったのは、



過去の僕が僕自身を助けるためにかけた


呪いのようなものだったようだ。





変わることのできていなかった僕にかかっていた呪いは




僕の気持ちが変わっていくにつれて自然と解けていった。







きっとこれが過去の僕の『助ける』なんだろう。








僕の中にある、ほんの数ミリの変わりたいという気持ちが、





僕を変えようと頑張ってくれたのかもしれない。











こうして変わることのできた今の僕には


どんな色でも見ることができる。









だって、今の僕には、大切な友達、頼れる信頼感、そして、誰にだって負けない絆があるから。







こんな思い、あの一言でしか表せないでしょ。







今なら胸を張って言える。













トントン
『 僕は世界で一番の幸せ者だ。      
    お前らにだって負けないくらいにな! 』




























帰り道、僕がそう言うと、


みんながみんな、自分が一番だと主張を始めた。





それぞれの歩くスピードはバラバラで、


早い人もいれば遅い人もいる。










そんなことでも、我々は気にせず横一列に並ぶ。




どんなに途中で後ろにいても、




前に思いっきり飛び出しても、結局は隣に居る。







『最後はみんなでゴールがしたい』








きっと誰もがそう思うから、隣に居られるんだろう。















ずっと前を歩いていた僕は後ろを見れずにいて、



どんな状況かも分からずにどんどん前を行ってしまっていた。






だが、それも自分が思い込んでいただけのようだった。







どこかで道を踏み外し、


自分自身では抜け出せない迷路に閉じ込められていただけで、





僕一人がみんなの背中についていけてなかっただけ。








そんな僕を救おうとみんなは立ち止まっていてくれたんだ。









だから僕は、みんなの正してくれたこの道をもう一度歩み出す。





鬱先生
なぁなぁ見て!綺麗な夕日や!
チーノ
ほら!トントン!
チーノ
あれが僕の言ってたトントンの色や!




あれが僕の色なのか。




すごいや、僕もあんな風に輝ける時がいつか来るのかな。







あの夕日みたいに_赤く紅色に。


トントン
綺麗やなぁ…
ショッピ
おー今のは完全なる本音ですね
グルッペン
お〜!ショッピ君も嘘を見破られるようになったんだな!




グルッペンはショッピ君にそう言うと、


思いっきり笑顔を作ってみせた。




その笑顔は人一倍に夕日に照らされ、美しく輝く。









嗚呼、やっぱりグルッペンは笑顔が似合う。



だから、もう二度あんな顔にさせたりなんてしない。







そう思った僕は前を向き、歩き出す。







僕らは夕日に照らされた道を辿り、ゴールを目指そうと再び前進する。










そんな我々の背後からは、追い風が吹いてきていた。

プリ小説オーディオドラマ