どうやら、今まで空の色が見えなかったのは、
過去の僕が僕自身を助けるためにかけた
呪いのようなものだったようだ。
変わることのできていなかった僕にかかっていた呪いは
僕の気持ちが変わっていくにつれて自然と解けていった。
きっとこれが過去の僕の『助ける』なんだろう。
僕の中にある、ほんの数ミリの変わりたいという気持ちが、
僕を変えようと頑張ってくれたのかもしれない。
こうして変わることのできた今の僕には
どんな色でも見ることができる。
だって、今の僕には、大切な友達、頼れる信頼感、そして、誰にだって負けない絆があるから。
こんな思い、あの一言でしか表せないでしょ。
今なら胸を張って言える。
帰り道、僕がそう言うと、
みんながみんな、自分が一番だと主張を始めた。
それぞれの歩くスピードはバラバラで、
早い人もいれば遅い人もいる。
そんなことでも、我々は気にせず横一列に並ぶ。
どんなに途中で後ろにいても、
前に思いっきり飛び出しても、結局は隣に居る。
『最後はみんなでゴールがしたい』
きっと誰もがそう思うから、隣に居られるんだろう。
ずっと前を歩いていた僕は後ろを見れずにいて、
どんな状況かも分からずにどんどん前を行ってしまっていた。
だが、それも自分が思い込んでいただけのようだった。
どこかで道を踏み外し、
自分自身では抜け出せない迷路に閉じ込められていただけで、
僕一人がみんなの背中についていけてなかっただけ。
そんな僕を救おうとみんなは立ち止まっていてくれたんだ。
だから僕は、みんなの正してくれたこの道をもう一度歩み出す。
あれが僕の色なのか。
すごいや、僕もあんな風に輝ける時がいつか来るのかな。
あの夕日みたいに_赤く紅色に。
グルッペンはショッピ君にそう言うと、
思いっきり笑顔を作ってみせた。
その笑顔は人一倍に夕日に照らされ、美しく輝く。
嗚呼、やっぱりグルッペンは笑顔が似合う。
だから、もう二度あんな顔にさせたりなんてしない。
そう思った僕は前を向き、歩き出す。
僕らは夕日に照らされた道を辿り、ゴールを目指そうと再び前進する。
そんな我々の背後からは、追い風が吹いてきていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。