生徒会長だからできるだろ~って強制的にやらされているクラス委員のせいで号令をしなきゃならない
その事に毎日毎日めんどくさくてため息が出る
なんて、小中高変わんない気だるげな挨拶が教室に響く
デッサンか…
俺はどこ描こうかな…
校内だとうるさくなりそうだから、なるべく人気のない外に行こ…
そう決めた俺はすぐに外に向かった
俺の膝の上で目を閉じて熟睡しているように見えるゆんぎひょん
目に少しかかる前髪が風に揺れて
時折鬱陶しそうに皺を寄せている
手でそっと触れて前髪を横に流してあげるとまた気持ちよさそうに寝息を立てる
頬をそっと撫でてみてもひょんは起きる気配すらしない
気付いた時にはもう体は動いていた
ひょんの顎に手を添えて少し上を向かせ、マスク越しに俺の唇を押し当てる
遠くから声がして急いで顔をあげる
キャンパスを片手にたっているヒョンと目が合う
美術の授業中、と言ったところだろうか
見た事のないぐらい怒りと悲しさを含んだその目を向けられて
蛇に睨まれた蛙のように俺は息をすることも忘れていた
”てひょんあ、じなに譲りなさい”
”てひょんあ…分かるわよね?”
”そくじなに全部任せる、お前は好きに生きたらいい”
俺は…
どうして…_________
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次回、てひょんの過去
伏線なしで全て明かします
((かなり暗いですすみません
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。