「1億マドル」
「1億!!!1億マドルが出ました!他にいませんか?……では、1億マドルで落札です!」
「あっはっはっ!この程度でいいなんて随分と安いんだな!なぁ、ジャミル?」
「まぁ、カリム。黙っておけ」
二人の男は口の端を釣り上げくつくつと笑みを零した
豪華絢爛な装飾と服は熱砂の国を思い出させる
「えぇ、本当に安い…。この金額で彼女の価値を測ろうなど、まさに愚の骨頂です!」
「あはっ♡、でもぉ…払う気ないんでしょ?」
「おやおや、そうなのですかアズール」
奥の席から出てきたのは3人の男も、これまた楽しそうに笑い合っている
「おっ!3人も来たんだな!」
「えぇ、カリムさん。落札、ありがとうございます」
「あっはっはっ!まぁ、作戦だからな!」
「おい、カリム。あまり大声で言うな!?」
「おっと、悪い悪い!」
いい買い物をしたと全員が笑みを浮かべて、商品を受け取るために動き出した
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「はぁ、アズールは一体何を考えているんだい。こんなの効率が悪いじゃないか!」
「そうカッカするじゃねぇ。赤毛の坊ちゃんよ」
「あら、アタシはいい前座だと思うわ。サファイヤの瞳ですってよ、楽しみね」
「ど、同時にこの闇オークションを潰す気なんでしょ。アズール氏は…」
オークションが行われている舞台と客席の一つ上のギャラリー
そこでは3人の男とふわふわと浮くタブレットが会話を繰り広げていた
「にしても、趣味の悪ぃ所だな」
「えぇ、本当に。高級ホテルの地下が闇オークションの会場なんて」
「……おや、もうそろそろ時間のようだ。」
「アズール氏からも撤収の連絡が入ってるでござる」
4人は己の服を翻し、ギャラリーを後にした
それぞれがこれから会うあの少女へと思いを馳せながら、ニヤリと笑った
「あら、そう言えばマレウスは?」
「「「 あっ 」」」
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。