第10話

#10
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2023/03/26 04:35
モトキside.
本当は楽しい時間だったんだと、今では思う。

何も分からない俺を、優しく抱きしめてくれたのは「彼」だった。

どんなことだって俺に教えてくれたのも、もちろん「彼」だった。



「彼」...「先生」は、俺の世界そのものだった。

俺の知る全てを形容する存在なんだ、と信じて疑わなかった。


...だから、先生は悪くないよ。

全部、全部俺のせいだから。

期待に応えられなくてごめんなさい。

皆みたいに、完璧になれなくてごめんなさい。


いつだって貴方は、この不完全な手を引いてくれたのに。



もうずっと、何もかも、欠けたまま。

でも、それもお似合いなんだろう?

...あぁ。でもきっと、『彼』なら。

あの快活で、子供のような笑みで、

「そんなことない」って、笑いかけてくれるのかもしれない。



...なんて、高望みかもな。

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