第9話

#9
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2023/03/21 09:17
モトキside.
...ピンポーン。
そうチャイムが鳴ったのは、ある日の昼下がりのことだった。
モトキ
...何か、頼んだっけ。
家に人は呼んでないはず。...まぁ、何か頼んだ覚えもないのだけれど。

まぁ、誰にしてもこのまま待たせるのは失礼だな。
モトキ
...はい。スタスタ
家の外にもギリギリ聞こえるくらいの声量で返事をして、ドアに手をかける。

...ガチャッ。
モトキ
...どうかしまし...た......か。
地面から上へと動かした目に、真っ白な白衣が映る。

確かに見覚えのあるそれに、思考が止まった。


「今すぐドアを閉めろ」と、苦し紛れに本能が叫ぶ。

しかし、俺の顔はゆっくりと上を向き続けた。


そして、置き去りにした思考を辿るうちに、「誰か」と目が合った。
モトキ
っ、!?
喉が、ヒュッと鳴るのが分かった。
身体が、動かない


なんで、なんでこいつがここに?
???
...やぁ。また会えて嬉しいよ。スッ
モトキ
な、で...っ、?
混乱で声が掠れる。

そういうと目の前の「誰か」は、その骨の浮き出た手をいきなりこちらに伸ばした。
モトキ
っ、やっ...!!
苦し紛れに息を吸い込む。
???
...場所を変えようか。ガシッ
そう言い放ち、荒々しく掴まれた左手を強く握られる。

痛みに、吸い込んだ息が漏れ出ていく。
モトキ
やめて...っ...、せんせっ...!!
息とともに、無意識にそんな言葉が零れた。

過去に、何回も口にしたことのある言葉。

俺に「先生」と呼ばれた目の前の男は、俺の目を見て薄く笑う。

瞬間、意識が遠ざかって行った。

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