第5話

#5
506
2023/04/06 14:36
No side.
どこまでも、どこまでも白い空間が広がっていた。
バンッ!!!!

そこに、荒々しいドアの開閉音を立てて男が現れる。
???
…9番は?まだ見つからないのか。
苛立ちを抑えきれないという顔で男が口を開いた。
???
す、すみませんっ。…現在、総動員で捜索しているんですが――――。
???
総動員で?
???
たかだか1匹の「不良品」に、お前たちはどこまで手こずっているんだ?
???
…もういい。失望した。スタスタ
???
っ…!お待ちください、研究長!
「研究長」と呼ばれた男は、踵を返し、その場を去った。
『カプセルNo.3 ロック解除します。』
研究長
研究長
…仕事だ。3番。
そう呼びかけると、カプセルの中に入っていた「何か」が目を覚ました。
???
研究長
…聞いているのか?仕事だ、と言っているんだ。
???
えぇ。聞こえております。しかし、私は「3番」という者ではございません。
???
貴方様から頂いた、製品名がございます。
研究長
…ほんと、なぜこんな面倒臭い性格に造ってしまったんだ…。
???
…ふふふっ、冗談ですよ。
???
…それで、仕事というのは。
研究長
…9番が逃亡した。未だ行方知れずだ。
???
9番…。あぁ。あの出来損ないのことでしょうか。
研究長
そうだ。
研究長
…出来損ないなんて、随分あいつを下に見てるようだな。
研究長
元はと言えば―――
???
「同じ」なんて言わせませんよ。
研究長
???
…俺は、上辺だけの彼奴とは違う。
研究長
…まぁいい。捜索を行う、着いてこい。
???
… ムッ
研究長
…はぁ…。
研究長
着いてこい。…モトキ。スタスタ
モトキ?
っ!…はい。
モトキ、と呼ばれた「何か」は、男の背を追った。

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