第13話

死ぬな
「ひよ、死ぬな。あたしはこれ以上大切な人を失いたくない。ひよは若い。未来がある。それをお前の心無い家族に奪われてたまるものか。悲しいことにな、誰かの自尊心を踏みにじらないと幸せを感じない奴らもいるんだ。それが腹を痛めて産んだ子だろうと関係なくね。」

ほとんど叫び声だった。先生は叫んだ。ざらざらに震えるその声に私は心を揺さぶられる。

「ひよ、ひより。今ならまだ間に合うかもしれない。心臓の筋肉硬化が始まってからじゃ遅いんだ。これ以上身体に広がる前に病院に行こう。」

「·····でも。」

でも。

死んだら楽になれるかもしれない。むしろその方が、苦しくない。正当な理由で死を迎えられる。それ以上の安らぎなんて、私にはないと思った。

私の考えを汲み取ったように、先生は言う。

「あんたはまだ18歳だ。80歳まで生きるにしたって、その4分の1も生きちゃいない。その間に必ずいるから。ひよを理解してくれる、支えてくれる、そんな人が見つかる。いくらでも幸せになれる。親元なんて大学進学と共に離れちゃえばいい。それまで、あと1年もない。よく考えろ。」

絞り出される声のせいで、そのまま先生のの喉がちぎれてしまうのではないか。それくらい悲痛な声だった。