第9話

存在価値
このやり方は「しつけ」なんかじゃなかった。特に母は怒ると手が出やすい。今は身体が大きくなって私にも力がついたから避けられるけど、中学生くらいまでは普通に殴られた。 

私は疎まれているから、口を聞いてもらえない。「アイツ」「おい」「お前」そんなふうに呼ばれてる。あの人たちに何かを尋ねる時、許可を得る時、私は声を低く抑えるの。なぜだかそうしないと、上手く呼吸ができない。そういう体質になっちゃったみたい。

色々諦めた。ドラマのような家族の形が偽物に見えて仕方ない。家族団欒って何?愛情って何?

私が家畜って言うのは、生活をさせてもらえてるから。外ズラがいいって言ったでしょ?世間体重視だから私を周りよりできる子にしたがる。運動、勉強、習い事·····。この高校は父が勧めた。

ここは進学校ってわけじゃないけど偏差値60はあるからって。私は操り人形でしかない。都合のいいお人形。生活させてもらう恩恵に実績を渡す。

辛いって苦しいって言っていいのか分からない。何が苦しいのかわからない。もしかしたら愛されないのには私に原因があるのかもって。寂しいのは私が欲張りなせいだって。
そう考えていくうちに、涙は出るんだけど泣いていることを悟られたくない。

時々、なんのために生きているのかもわからなくなる。静かに泣いて、声にならない声でさけぶ。そして自分の頭を空っぽにしてからじゃないと、生き方を見失う。私の人生ってなんだろう。


そんな状況でも家族を捨てることが出来ない半端者。だからいちいち傷つくの。飽きずに毎日、毎日繰り返していく。





「先生、これが私。」