第6話

先生、
先生は私の両肩にぽんと手を置いた。

「それ。」

「ん、どゆこと?」

「身体の感覚がないの。先生が触ったところ、何も感じない。人の温もりとか、それだけじゃない。熱い、冷たい、痛い、痒い·····なんにもわからない。おまけに力が入らない·····。」

「病院は行った?」

「行けない。保険証使ったら親にバレちゃう。」

先生は真一文字に口を閉ざして、眉を下げる。

「基本的に私に興味がない家族だけど、父の仕事の関係上、どんな些細なことでも病院に行ったらその詳細をお医者さんに書いてもらって、職場に提出しなくちゃいけなくて·····」

「·····そっか。ひよはそれが出来ないんだね。」

そう。やりたくないんじゃない、出来ないのだ。父に頭を下げてまで、報告書を渡したくない。

「最近ひよが笑わないのも、家庭の事情が関係してたりする·····?」

「私、笑ってない?」

「うん·····さっきのハムスターのくだりも真顔だったよ。」

とりあえず座ろうか。二人で話をしよう。

先生は図書室の入口に『閉館』のカードを下げて鍵をかける。

普段は入れない司書室に招かれた。