第14話

いつでもいいよ
「家にいるのが辛い。家族の対応が辛い。どうしようもない孤独を感じてるならいつでもあたしに連絡してくれていいから。相談に乗れるよ。あたしの連絡先知ってるだろ?」

息を吸う。そして、吐く。

「いつでも、いいの?」

トクトクトクと高鳴る鼓動。

「うん。しばらくは恋人を作る気もないし。それにあたし、わかるんだ。ひよが保健の先生とかスクールカウンセラーに相談しない理由が。これはあたしの体験談からの考えだけど、大袈裟に騒ぎ立てられたくない·····合ってる?」

「うん。そう。そこから親に漏れたら·····って思うと口が裂けても言えない。」

「あたし、学生の時ちょっといじめられてて、担任に相談したら全部筒抜けだった。教師は全員知ってただろうし、いじめっ子にまでバレてた。ほんとに失望したよ。一瞬、死のうかなんて馬鹿なこと思った。まぁだけど本が支えになって何とか生き延びた。」

複雑な笑みを浮かべ、こちらを見る。

「病院、行きなね。怖かったら、あたしもついて行くよ。」

今なら泣ける気がした。布団の中じゃない場所ではいつぶりだろう。先生の優しい言葉が、じんわりと胸に染み渡る。

よく遊びに来るだけな生徒の私を、こんなにも想ってくれる。今まで、そんな人間に出会ったことがあっただろうか。

「先生·····ありがとう。」

頬が痙攣していた。それでも一生懸命持ち上げる。唇の端を持ち上げる。笑いたかった。先生のために、笑いたい。

「照れるなぁー。あとでコンビニのアイス奢ってあげる。」

ふふっと、泣き笑いするようにくしゃくしゃと顔を歪めていた。

「一番高いやつね!」

「ドンと来い!!」






窓の外はすっかり日が暮れていた。

だけど、真っ暗じゃない。不完全な丸い月が高い場所から私たちを照らしていた。

静かに、優しく。