第10話

耐性
すべて話し終わって私が顔をあげると、先生は泣いていた。

「ひよ·····、ひよぉ。」

「先生、ティッシュあるよ。いる?」

メイクが崩れて鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃだった。

「えぇ、そんなに泣かないでよ。」

「どうしてもっと早く言ってあげなかったんだろう。って悔しいんだ、あたし。ひよの表情のことは薄々気づいていたけど、言っていいのかわからなかった·····。ひよを傷つける気がした。ごめん、ごめんなぁ。夏休みなんて特に辛かったろうに·····。」

お腹の底から絞り出される先生の声は気の毒な程に弱々しく、嗚咽混じりだ。

しゃっくりをあげながら肩を震わせ、再びティッシュに手を伸ばす。

「大丈夫だよ。ずっと続いてきたことだから。耐性ついてきた頃だし、昔ほど傷つかない。」

「それでも、少なからず傷がついているんだろう?」

「そりゃぁ、まぁ。少しは·····。」

嘘だ。嘘だけど、これ以上先生に言ったところで私の今の環境が変わるわけじゃない。せいぜい同情されて終わる。それこそ、あの子が言ったように「縁を切る」ことをしなくちゃ。