涼さんが夢の世界に入ったころ。私は目となる術を設置し、お父様のもとへ向かった。
お父様ー。報告に来たよー。
おお、おかえり。
……よくそんなに楽しそうに帰ってこれるな。喧嘩をしたばかりなのに。
それとこれとは話は別よ。役目を果たさなくちゃ。妖怪の1人としての役目を、ね。
それもそうだな。
で、どうだった?何か掴めたか?
彼女の名前は松下花香。涼さんと同じクラスの女子高校生よ。
家系は陰陽師。おそらく、昔の陰陽師が成り立っていた方法を知っていたのでしょうね。微かにだけれど、彼女から同族の血の匂いがした。
封印する方法も知っているみたいね。人間に迷惑をかけている妖怪を封印していると言っていたわ。まあ、本人から聞いた情報だから確認がいるけれど。
また危険なことをしたのか?本人に直接聞くなんて……。まあいい。とりあえず、松下の家系で調べてみよう。確か、昔そんな陰陽師がいたはずだ。
その時代から続く陰陽師ってこと?……面倒なことになりそうね。
仕方がないだろう。こればっかりは。
で、彼女も殺さないのか?
彼のクラスメイトよ?死んだら彼が悲しむし、私たちが殺したって感づかれるわ。そうなったら、もう私、彼のそばにいられなくなるじゃない。
そ、れ、に。人殺しなんて、彼は嫌がるわ。彼が嫌がることはしないって決めてるの。
極力殺さない方向でいく、か。
どうしたの?今回はやけにあっさりね。
……前のことは、すまなかった。気が立っていたんだ。お前の好いている相手なら、気が緩んでしまいそうで。それに、お前のことも心配だった。
(……。)
私こそ、ごめんなさい。勝手な行動をとってしまって。
私は少しだけ頭を下げながら、お父様に謝った。
これで仲直り、だな。
お父さんはそう言って笑った。握手を交わしながら、私も笑った。なんだか穏やかな雰囲気が流れていた。
とりあえず、ゆっくりして行きなさい。
ええ。少しだけ、ね?
ゆっくりとその場に腰を下ろし、お父さんがお茶を入れてくれているのを見守る。
その時だった。涼さんの隣に置いてきた術が、反応した。
「テキイアリ、サツイアリ!」
まらで、そう呼びかけてくるかのように、術の向こう側からは殺気が感じられた。
お父様!私帰るわ!
え、どうしたんだ?急に……。
お父さんの言葉を最後まで聞かないまま、私は家の外に飛び出した。
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