刺客の気配がする路地に入る。すると、刺客の方からさっと現れて、話しかけてくれた。
どういうことですか?姫様。
こっちが聞きたいくらいだわ。早いのね、お父様の命令?
この刺客の顔は、見覚えがある。お父様が雇っている刺客だ。
我々は王以外の命令では動きませんので。
…そう。
それより。延期よ。帰りなさい。今の、見てたんでしょ?
確かにこの目で見ましたが…王の命令を、姫様が曲げることはできません。
誰も殺さなくて済むかもしれないのに?
私たちはすでに闇の住人。人間など何度も殺していますから。
(…お父様、意外と怖いのね。他にも何人も殺していたなんて…。)
(でも、彼だけは譲れないわ。)
彼を殺したら、私も死ぬから。
…は?な、なぜですか?!あんなガキのために…姫様が!?
(そりゃあ私たち妖怪からすればガキだろうけど…何もガキ呼ばわりすることないじゃん。)
好きだからよ。私、彼に恋したの。
このことについては、お父様も容認済よ。
お父様に相談した時は、かなり反対されたのだが、見るだけだから、彼が死んだら諦めるからと私が押し切ったのだ。
わ、分かりました。一旦引きます。
下がりなさい。
は、はい。では。
刺客の妖怪はどこからか現れた煙に紛れて消えた。
(他に刺客はいないようだし…帰るか。)
学校の方をふと振り返ると、涼が窓から顔を出してキョロキョロと何かを探していた。
(…今は休み時間だったっけ?何してるのかな?)
ふわっと浮き上がり、涼の方めがけて飛んでいく。後百メートルというところで涼はこちらに気がついたようで手を振ってくれた。
変に思われますわよ?誰もいないところに手を振ったら。
私が話しかけると、涼は携帯を取り出して、耳に当ててから返事をしてくれた。
そこまで気が回らなかったよ。
それで、何をなさっているのですか?
君を探してたんだ。
…私を?
(な、なんか恥ずかしい…。なんでだろう。)
そう。
何か契約について聞きたいことでも?
ううん。刺客があるって言ってたから…大丈夫かなって。
(や、優しい…。)
大丈夫ですよ。下がらせましたので。
それより、狙われているというのに窓から顔を出さないでくださいね?危ないですので。
た、確かに…ご、ごめん。
謝らなくてもよろしいのですよ?
にっこり微笑みながら話す。すると、涼の友人が涼の肩をポンと叩いた。
そろそろチャイムなるぞ?また電話してんのか?
ああ。ありがとう。
じゃ、またね。
はい。ではまた。
手を振りながらゆっくり後ろに下がっていく。そして私は、妖怪世界へ行く煙の中に消えた。
(あー!嬉しかった。)
(私を心配してくれていただなんて…!)
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。