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第37話

命とは
松下 花香
松下 花香
そう、気がついたのね。
あなた

ううん、わかってはいたの。でも、いつの間にか忘れていたのよ。そのくらい、幸せだった。

松下 花香
松下 花香
幸せだった、じゃなくて、幸せなのでしょう。
松下 花香
松下 花香
今を噛み締めるしかないでしょ。せっかくのデートだったのにね。
松下 花香
松下 花香
それとも、私に譲ってくれるの。
松下 花香
松下 花香
花島くんの、隣。
あなた

いっ、いやよ。

松下 花香
松下 花香
それなら足掻いてみたらいいじゃない。
松下 花香
松下 花香
妖怪は不思議な生き物よ。選択肢はきっと一つじゃないはず。
松下 花香
松下 花香
さくららしくない。
松下 花香
松下 花香
桜はいつも笑っていた。性格を隠していたときも、ニコニコしていた。
松下 花香
松下 花香
それに、妖怪が人間とともに過ごせている今は奇跡なのよ。普通はそんなことできない。
松下 花香
松下 花香
それだけでも、感謝すべき。
あなた

そう、なんだけど……。

あなた

(怖くて、仕方がないのよ)

あなた

(結ばれても、結ばれなくても。涼が死んだら、私は1人になる。私は1人でどうするの。帰るの。涼を殺そうとした、お父様のところに)

あなた

(ひとりぼっちは、嫌だ)

松下 花香
松下 花香
……怖い。わかるわ。
松下 花香
松下 花香
人間だって、同じだもの。まあ、人間の方がマシかもしれないけれど。
あなた

え……。

松下 花香
松下 花香
置いていくのも、置いていかれるのも、不安なもの。人間は妖怪より死が身近なものだから、その分そんな機会は多く、そしてまたあの世で会える。
松下 花香
松下 花香
あなたは妖怪にしては珍しい経験をしているのよ、さくら。
あなた

そう、なのかな。









 文花に連れられて歩いている涼は、すこし不安げにキョロキョロ周りを見渡している。
松下 文花
松下 文花
どうかしたの。
花島 涼
花島 涼
いえ、その。
花島 涼
花島 涼
さっきの、さくらの言葉が気になって。
松下 文花
松下 文花
あら、なんて言っていたの。
花島 涼
花島 涼
寿命が違いすぎる、と、ボソッと。
松下 文花
松下 文花
……そう。
松下 文花
松下 文花
あの子は妖怪だからね。いろいろ思うところあるのでしょう。
花島 涼
花島 涼
え。
松下 文花
松下 文花
妖怪と人間だもの。置いていかれるのはわかりきったことだわ。
松下 文花
松下 文花
まさか、わからないとでも。
少し苛立ちを覚えた顔で花香の母はにっこり笑いかける。
花島 涼
花島 涼
いや、その、わかってはいたんですが、後回しにしていました。
松下 文花
松下 文花
……面白い術があるの。




 涼は走っていた。さくらのもとへ。先程文花さんに教えもらった術の札を手に握り締めながら。
松下 文花
松下 文花
この世にはね、面白い術がたくさんあるの。これは、そのひとつよ。
松下 文花
松下 文花
もともとは、片方が死ねばもう片方も死んでしまう不良品の術なの。
松下 文花
松下 文花
けれど、これを改良すれば面白いものができたの。
松下 文花
松下 文花
主体となるどちらかが死なない限り、もう片方の成長の時間はとまり、死ななくなるの。