(彼女について報告に行かないと……あれ?彼女の名前、なんだっけ?)
涼と歩く帰り道。そんなことを考えながら、私は名前を書き忘れていることに気がついた。
(困ったわね。名前を聞かないと、陰陽師としてどんな仕事をしているのかも、調べづらいわ。)
そういえば、今日、松下さんとなに話してたの?
ま、松下さん?
あれ、名前知らないの?
松下 花香。今日さくらが話していた女の子の名前だよ。
(よっしゃ!これで名前が分かったわ!)
なに話してたの?
彼女、松下さんも妖怪が見えるようでしたので。
え、俺の仲間!?
はい。ですから、そのことについて少し質問を。
質問?俺の時は契約だったのに?
え?ええ……どうやら、松下さんは妖怪を封印する術をお持ちのようだったので、下手に行動は取れなかったのです。
なんで術を持ってるって分かったの?
彼女に聞きました。
そうなんだ。
……俺には、倒す意思があるか聞いてきたよね?どうして倒す方法を持っているかを聞いたの?
松下さんが陰陽師の家系だとおっしゃったので、私たち妖怪を封印しているのか尋ねただけですよ。
能力を持っているか聞いたわけではありません。
まあ、話の流れですね。
(……なんだかやけにズカズカ聞いてくるわね。)
そうなんだ。
(何か話題を変えないと……。)
(本当になんでこんなに聞いてくるのかしら?変なの。)
そういえば、私の名前はどうしてさくらなのですか?
ん?ああ。
イメージだよ。さくらを見たときに、桜のような綺麗なイメージがあったから。
まあ、綺麗だなんて。
(やばい。赤面しそう。)
(涼さんに綺麗だって言ってもらえるなんて……こんなことある?もしかして、夢?これ夢なの?)
さくら?ボーッとして、どうしたの?
い、いえ。なんでもありません。
すみません。
ううん。別に謝ることないけど……。
けど、さ。
一個引っかかったことがあるから聞いてもいい?
はい、なんでしょう?
俺が持っているような力って、不意に訪れる物なんでしょ?
はい。
じゃあ、陰陽師の家系ってどういうこと?代々陰陽師ってわけでしょ?
奇跡でも起きない限り、連続して不意に力が訪れるっていうのは、おかしくない?
すごいです。さすがですね、涼さん。そんなところに気がつくなんて。
何か方法があるの?
……妖怪の血を飲むと、力の発現率が高くなると聞いたことがあります。封印した妖怪の血を飲んでいたのかもしれません。
昔の陰陽師も、それで成り立っていたものが多くいたと聞きます。
痛そうだね。あんまりいい方法ではなさそうだ。
心配してくださって、ありがとうございます。
(まあ、妖怪の傷はすぐに治るから大丈夫なんだけど……痛いものは痛いからね。)
(それにしても、私たち、妖怪のことまで考えてくれるなんて。……やっぱり、私、涼さんのこと好きだな。)
もうすぐ家だよ。
はい。
私たちは涼さんの家に戻っていった。
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