文花さんは泣き出してしまっていて、これ以上話をするのは無理そうだ。
そうであれば、早くこの家にいる妖怪に話を聞かないと、帰る時間がもっと遅くなってしまう。
この家にいる妖怪と話をさせていただいても?
ああ。構わない。案内は……いらなさそうだね。
はい。失礼します。
待った。俺も行く。
私も。
わかったわ。行きましょう。
2人を連れてゾロゾロと妖怪の気がする場所へと向かっていく。
ここ、みたいだね。
ええ。
……出てきても大丈夫よ。どうしてここにいるのか聞かせてくれる?
私が優しく声をかけると、庭の木の影からそっと、猫又が二匹、三匹と出てきた。
そして、そのうちの一匹が人間に化ける。
姫様……。
その表情は、不安げだ。
申し訳ありません、姫様……。
今にも泣き出しそうな声をしながら、彼女はそう言った。この顔、見たことがある。たしか、この辺りの猫又をまとめているものだったような。
なにがあったの?
子供が、猫又だと人にバレてしまって……ここの陰陽師に封印されてしまったようで……。
……そういえば、おじいちゃんがそんなことをしていたような。
気概を加えるつもりはないんです。ただ、その子を返してもらえたら。
そっか。それは大変だったな。
あの、そちらの男性は?
あー、ちょっと理由があってね。
(猫又がお父様の味方じゃなくてよかった。もし今の事象を知っていて、お父様の見方をしていたら、面倒なことになってしまうものね。)
主様(あるじさま)はご健在ですか?
主様?ああ、お父様ね。ええ。この間お会いしたけれど、元気だったわ。
え?一緒に暮らされていないのですか?
それもまた、事情があってね。
それより、捕まってしまった子の解放が目的なのよね?
はい。
花香。幸助さんに頼んでもらえる?……可能かな?
……難しい。今までそんな事例はなかったと思う。でも、聞いてみる価値はある。
早速聞いてくる。
そう言うと、花香は先ほどの部屋に戻っていった。
ありがとうございます、皆様。本当に、感謝してもしきれません。
そう言うのは解決してから言いなさい。
これからは気をつけるのよ?
はい。申し訳ありません、姫様。
本当にありがとうございます。
このままうまくいくといいけれど。
さあ。どうなるかはわからないわ。
あ、姫様。
なに?
初めてのお友達ですね。よかったです。
え、あ、うん。ありがとう。
(なぜ私に友達がいなかったことを知っているのよ……。いや、怖いわ。)
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。