涼さんの後について教室に入る。
聞こえないとはわかっているだが、これから多くの時間を一緒に過ごすことになるであろうクラスメイトに挨拶をしておきたいと思ったのだ。
涼さんが座った席の隣に立つ。……誰かに見られている?
私の目線の先には、1人の女の子がいた。私が笑いかけると、女の子はふっとそっぽを向いてしまった。
私は術をかけ、目をそこに設置した後その場を後にした。
なんだか顔が赤くなりそうになる。ダメダメ、と首を横に振り、家へと急いだ。
屋敷のドアを勢いよく開く。
そこには、何人かの妖怪が集まっていた。会議とは、上級妖怪を集めてする会議だ。一年に何回か行われているのだが、タイミング悪く今やっていたらしい。
お父様の耳に口を近づけ、口元を隠しながら小さな声で伝える。
お父様は少し目を見開いたあと、深刻そうな顔をして
と言った。
話しかけてきたのは、上級妖怪を束ねるリーダーだった。
なんだか上辺だけの応援な気がしてならないのはどうしてだろうか?
私はそういうと、しずしずと部屋を後にした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。