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第29話

帰ろう
 その日はもう夜遅かったので私たち2人は涼の家に戻ることになった。
松下 花香
松下 花香
じゃあ、気をつけて。
あなた

ありがとう。

花島 涼
花島 涼
ありがとう、松下さん。
松下 花香
松下 花香
う、ううん。気にしないで。
あなた

(……なんだろう、この気持ち。よくわからないけれど。)

 花香が涼に対して嬉しそうな表情を見せるたびに、胸がギュッと締め付けられるように熱くなる。この気持ちがなんなのかは長年生きてきた私にもわからない。
松下 花香
松下 花香
どうしたの、さくら。
あなた

えっ、ううん。なんでもないわ。

花島 涼
花島 涼
大丈夫か。疲れちゃったのかな。
あなた

大丈夫だってば。さあ、早く帰りましょう。あまり遅くなると危険だわ。

花島 涼
花島 涼
そうだな。
猫又の主
猫又の主
ありがとうございました、姫様。
猫又の子供
猫又の子供
ありがとうございました、さくら様。
あなた

大丈夫よ。

松下 文花
松下 文花
あ、あの。
お辞儀をしてもう行こうとしたところに文花さんが話しかけてきた。
松下 文花
松下 文花
ごめんなさい、今日は。いきなり弓を打ったりして。
あなた

大丈夫ですよ、私達は気にしていま

花島 涼
花島 涼
どうしてですか。何か思ったことでも?
私の声を遮るようにして涼はそう返した。
松下 文花
松下 文花
え、ええ。その……。
松下 文花
松下 文花
夫が言っていたのを思い出したの。妖怪にもいい奴はきっといるって。
松下 文花
松下 文花
今までそういう妖怪にあまり会えなかったから信じられなかっただけなのよ。
松下 文花
松下 文花
世の中にはあなた達のように優しい妖怪もいるんだってわかったの。
文花さんは申し訳なさそうに俯いた。どうやらわかってくれたようだ。
花島 涼
花島 涼
……そうですか。わかっていただけて嬉しいです。
涼がそう言って笑いかけると文花さんと花香も顔を見合わせて笑った。




 花香達に別れを告げ私達は暗い夜道を歩いていた。疲れ切っているのかお互いに何も話すことなくただただ家に向かって真っ直ぐ進んでいた。
花島 涼
花島 涼
……なあ、さくら。
あなた

どうしたの?

花島 涼
花島 涼
妖怪も大変なんだな。
あなた

え?

花島 涼
花島 涼
俺さ、自分ばかりが不幸なんだと思ってた。急に見えるからとか言って狙われたりして。でも、違うんだよな。
花島 涼
花島 涼
困って苦しんでいるのは俺だけじゃなくて、他にもたくさん悩んでいる人がいるんだよな。
あなた

……涼。

花島 涼
花島 涼
さくら、俺
あなた

あなたは1人じゃないからね。私や花香がそばにいることを、忘れないでね。

あまりの恥ずかしさに涼の方を向けない。困ったのものだ。恥ずかしいなんて今までほとんど思ったことはなかったのに。
花島 涼
花島 涼
……ありがとう。
あなた

うん。

これからどうなるかなんて私にはわからない。このくらい夜道のように未来も真っ暗なのかもしれない。でも、それでもいいと思えた。