気になった女を誘拐して監禁まではするが、殺害まではしない
そうしたら警察沙汰になるから
俺はジミナが殺そうとした時に止めに来る役だ
あの日から約一年くらいした時、ジミナにそう言われた
それだけが問題だ
俺がいなきゃ、殺してしまうかもしれない
この日は、俺が寝る直前にジミナが部屋に来たんだっけ
部屋の灯りを消しといてよかった
きっとまた狂った顔をしているから。
俺はそんなジミナを見るのが嫌いだ。弟じゃなくて全く知らない他人のように思えてしまうから。
布団を被ると、ジミナが俺のベッドに入ってきたんだっけ
俺の腕を掴むと、頬をスリスリと当てられる
偶にこうやって甘えてくるジミナが可愛いんだ
暗闇だからどんな表情をしているのかは分からないが、きっと今はあの狂った顔ではない
だから俺は勝手に安心して
と短く答えた。
掴んでいた手を下にスライドさせると
今度は 手を”ぎゅっ と握られる
高3になってなかなか進路先を言わなかった
進学するのか悩んでいたのか、ホストになりたいと決まっていたのか 。
”それに、 僕の好きな女の子も沢山いるし ㅎㅎ ”
と楽しそうに続けて言う
そしてジミナは高校卒業後、入社試験を受けて合格し、本当にホストになった
俺らが兄弟ってことを隠して。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。