帰り道
嘘、だろ……………………?
信じたくない…どうして…?
俺のあなたが……。有り得ない、嫌だよ
僕だって信じたくないよ…
僕の大好きなあなたが、記憶喪失なんて嫌だ。
…また、あの惨劇を繰り返せって?なんでだよ、なんで…
涼介が、泣きそうな顔をした。
皆には記憶喪失になったこと言わないで。それと、知ってることも言わないで
あなたとの約束、守りたいんだ。
あなたに、本当のこと言ってほしかったな…俺ら、信用されてないのかな
そう思うのも無理ない。けど…
違うよ、そうに決まってる!ただ、皆を悲しませたくないだけだよ
そう思うしか、自分を立たせる方法がないんだ。
…俺、あなたと話す。本当のことも聞く
涼介の突発的な発案に、侑李が思わず変な声を出す。
……ふぇ?
大丈夫。俺らのあなたは、知念から聞いただけで怒るような奴じゃない…前は。けど、今もそうだ、きっと
涼介…
ほら、そうと決まればすぐ病院行くぞ!
元気よく見せなきゃ…自分に嘘つかなきゃ…いつか俺自身が壊れてしまう。
今日、あなた通院って言ってたよ、まだいるかも
行こう、知念!
2人は、すぐ病院へと向かった________________________________
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!