第10話

彼女の気遣い
257
2018/03/14 08:13
月曜日
学校へ行くと何事もなかったかのように、彼女は話しかけてこなかった。やっぱり怒っているのか、彼女は楽しそうに友達と話している。今まで気にする事なんてなかったのに、たった1日とちょっとでこんなに変わるものだろうか……




放課後

誰もいない教室で俺は黙々と日誌を書いていた。部活動で走り込みをしているときの掛け声が3階にある俺の教室まで聞こえてくる。
果実
理ー央くんっ!
後ろからかけられた声になぜか懐かしさを感じた。少しの間しか一緒にいなかったのに、その声を聞くだけで誰だか分かった
理央
………橋本さん……なに?
果実
特に用があるわけじゃないんだけど……ってか何してるの??
理央
見れば分かるだろ。日誌だよ
いつもより冷たい態度をとってしまう。でもなぜか分からない。この気持ちの正体は……一体なんだ……?
果実
あぁ!今日日直だったんだね!
理央
うん……
果実
放課後ぐらいしか話せないからね〜
理央
……?なんで?
果実
え??だって理央君…皆に私といるの知られたくないんでしょ??
理央
え……?
果実
だって前まで全然話してなかったし、急に話してたら騒がれるじゃない?
あぁ……そういう事だったんだ……彼女はあの事で怒っていたわけではなかった。彼女は……俺を気遣ってくれていたんだ。最初はいい加減な人だとしか思っていなかったけどこんな気遣いが出来るのか………
そう思ったとき、俺の中で何かがトクンッと跳ねた気がした。

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