午前一時
街が暗闇に包まれる中
私はひとり、布団に包まる。
そっとスマホを手に取り
そっとアプリを開く。
画面をタップして
文字を打つ
『あ、あなた!来てくれたの!』
この声を聞くために
私は今日も
夜に沈む。
__出会いは1ヶ月前
彼氏と別れて4日経っていた。
哀しさが溢れる中
寂しさを埋めるために開いたアプリ
ツイキャス。
前々から使っていたが
元彼と付き合ってからは開いていなかった。
ふと目に止まったのが
凪 癒しカテ 閲覧3
キャス画は何かの漫画の男の子
入ってみれば、声が好きだった。
どこか安心するような爽やかな声。
「初見です」
気付けばコメントをしていて
『初見のあなたちゃん、いらっしゃい!』
もう私は
とっくに彼の
虜になっていた__
「待っててくれたの!」
「なにそれかわいい」
「あるの!」
「凪くんかわいい〜〜」
何気ない会話。
それでさえ心地よかった。
こうして私は
毎晩彼のもとに溶けていく。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。