翔太side
俺がさっきから
泣いているあいつを慰めているからか、
他の奴らがびっくりしてる
どうせ、あいつらのことだから、
翔太らしくない、なんて思ってるんだろうな
そう言って、あいつは立って行った
でも、またあいつが自殺を考えたりしたら、
次は本当にいなくなっちゃうんじゃないかと思って、
引き止めてみた
そう言ってあいつは、呟き始めた
あなたside
私と芽衣は、幼稚園からの幼馴染だった
私は芽衣と違って、
クラスの中心的な存在ではなかったから、
芽衣と一緒にいる時は、
本当は、他の子と仲良くしたいんじゃないか
って思ってたけど、
芽衣は、私が居たくて居るの!って言ってくれた
芽衣のおかげで、友達が増えて
私の学校生活が花咲き始めた
そんな時に、あの事故が起こった
あの日は、芽衣の買い物について行っていた
その時、私と芽衣は喧嘩しちゃって、
芽衣が、もう知らないって言って、
走って行っちゃって、追いかけたら、
芽衣がトラックに轢かれそうになっているのを見て、
体が反射的に動いちゃって、庇った
芽衣のためなら死んでもいいって思えた
でも、運良く芽衣は引かれずに済んだ
そしたら、トラックの運転手が出てきて、
芽衣を殴り始めた
私は守ろうとしたけど、蹴飛ばされて、
芽衣は、本当は事故死じゃない
暴力死した
芽衣が死んだ後、何度も家族に訴えたけど、
取り持ってくれなくて、私に容疑がかけられた
でも、殴られてるところ見てたから、
見殺しで、私も同罪なんだって…
そんなこと言ってくれたの、渡辺さんが初めてで、
嬉しくて…味方が増えたような気がした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!