第12話

pattern 4-無邪気
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2018/07/26 07:29
バッと顔を逸らした私を見て、凪くんがぼそりと呟く。

「……可愛い」

「か、かわいくないから!」

「なんで否定するんですか?会って一番最初にオレが『浴衣姿可愛いですね』って言った時、ありがとうって笑ってたじゃないですか」

不満そうにじとっと見つめられる。

なんで、と聞かれても。勝手に口から出ただけだ。

そう冷静に言えばいいのに、私はあたふたと惑うばかりで。

「そ、……その時と今では状況が違うの!」

我ながらわけのわからないことを言っていると思ったが、上手い理由が思いつかなかったので仕方がない。

凪くんの視界から逃れるため、ぐるりと身を反転して凪くんに背を向ける。

「………れって、……てくれてるって…………よね」

後ろで凪くんが何か呟いたが、聞き返さない。こんな顔、凪くんに見せられない。

互いに沈黙する。

――そして、私は凪くんに後ろから抱きしめられた。

「……あなたセンパイ。オレ、センパイに本気で恋してもらえるように頑張りますね」

耳元で囁かれた宣言に少し驚く。

気付いてたんだ、凪くん。

「というわけで!センパイ、次は何食べます?女子なんでわたあめとかですか?」

「何その偏見……んー、ポテト食べたいかな」

「わかりました!めっちゃ入れてくれそうなとこ行きましょう!」

にぱっと笑って、凪くんはさりげなく私の手を取り前へと引いていく。

決して大きくはないけれどしっかりした背中に、すごく男らしさを感じて、手が離されるまでドキドキしっぱなしだった。

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