第9話

pattern 3-ミステリアス
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2018/07/26 05:44
幸人くんは弓道部だ。そのため、的当ての屋台をやりたいようだった。

「真ん中に当ててみて!」

弓を屋台の人から受け取った幸人くんに、ちょっと無茶ぶりをしてみる。

上手い人でも、なかなか真ん中に当てるというのは難しい。そのことはもちろん知っていた。

毎日弓を引いている幸人くんも知らないはずはないのだが――

「わかった」

――わかった!?

簡単に了承して弓を引き始めた幸人くんの後ろ姿を眺め、私はただただ驚いた。

数秒後、幸人くんが放った矢は、宣言通りど真ん中を撃ち抜いた。

「当たった」

ぼそっと呟いて幸人くんは弓を屋台の人に返した。

景品のお菓子をもらい、幸人くんが戻ってくる。

私は感動して、最初、上手く言葉が出てこなかった。

「っ……す、すごい!!すごいよ幸人くん!」

「俺もびっくりしてる」

そう言う割にあんまりびっくりしてないような顔なので、面白くて笑ってしまった。

「次、あなたやる?」

「え!?わ、私はいいよ!」

何年か前やったことあるけど、ダメダメだったんだよね……。

その時のことを思い出してぶんぶんと首を振り、ニコッと笑えば、幸人くんはあっさり引き下がった。

軽い気持ちで聞いてきただけなのか、私の内心を悟ってくれたのかはわからない。でも、こういうしつこくないところも好き。

「あなた、今“俺のこと好きだなー”って考えてた?」

「!?あ、えと……」

「俺も好きだよ」

ちゅ、と短いキスが降ってくる。

――思いっきり人目あるのに!!なんでいきなり!?あぁでも嬉しい……!

矛盾した思いをこじらせながら、幸人くんの心が読めたらいいのにな、と私は切に願っていた。

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