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第1話

pattern 1-ツンデレ
1,007
2018/07/21 13:42
賑やかな通りを、私服のカップルが歩く。

「あ、ねぇあれ食べたい!」

「さっきたこ焼き食べ終わったばっかなのにもう次いくのか?」

それは、私、あなたと康也(こうや)だ。

康也は幼稚園の頃から一緒の、いわゆる幼馴染みで、少し前に私から告白して付き合うことになった。

って言ってもまぁ……

「いいのー!ポテト美味しいんだから!」

「まぁいいけど、祭りで浮かれてても太るものは太るからな。明日後悔すれば」

「もー、すぐそういうこと言う!」

むくれて見せるが、康也はすまし顔で「並ぶか」と言っている。

私はこくりと頷いて、フライドポテトの屋台の列に康也と並んだ。

二つ前くらいにいるカップルが手を繋いで話しているのを見て、康也に近い方の手に視線を落とす。その手は繋がれるでもなく体の横に下ろされている。

……変わらないんだけどね。何も。

「何味にするんだ?いろいろあるっぽいけど」

「えっと……」

いくつかある味の中で、私が一番心惹かれたものは。

「バター醤油かな!」

「ふーん」

「康也もポテト買う?」

「俺はさっきのたこ焼きで十分」

「そっか」

男子の割に少食だよね、康也って。

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