第14話

pattern 5-王子
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2018/07/26 12:12
「へ、平気とかじゃ……ないけど……」

誤解を生まないように言ったが、続く台詞が出てこない。

本当に私ってダメだ……。

ぎゅっと目をつぶってひたすら俯く。

隣で陽平くんが動く気配がした。

「……そっか。俺も」

優しい手つきで頭を撫でられる。

驚いて顔を上げれば、陽平くんは「ごめんね、ちょっと電話出てくる。待ってて」と言い残してどこかへ歩いていった。

ベンチに一人きりになる。念のため陽平くんがいた場所に荷物を置いておき、それから私は下を向いて顔を両手で覆った。

……俺もって何……?だったらなんでくれるなんて言ったの……。優しさ……?嬉しいけど、嬉しいけど……照れる。

「ふぅ……」

落ち着いてきたので顔を上げてみる。

すると、急にいろんな方向から視線を感じ始めた。

もしかして知り合いとか?でも、誰とも目合わないな。

「君可愛いね!一人?」

「え……」

突然降ってきた知らない声に顔から手を外して頭を上げる。

見えたのは、成人したかしてないかくらいの二人の男の人。

何……?これ。ナンパ?

「私、可愛くないですよ……?」

「いやいや可愛いって。さっきびっくりしたもん」

「それな!浴衣似合ってるし、めっちゃ可愛いよ。言われたことない?」

……彼氏には今日、言われました。なんて言ったら下手に刺激しそうだなぁ……。

愛想笑いをしつつ「どうでしたかねー……」と言葉を濁す。

気付けば、男の人が二人ともこちらに手を伸ばしてきていた。

「っ!」

動けなくて、助けを願いながら強く目をつぶった。

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