第8話

pattern 3-ミステリアス
606
2018/07/24 12:36
目の前にある幸人くんの手に、私はドキドキしながら自分の手を乗せた。

付き合って間もないため、手を繋ぐのはこれが初めてだ。なのにさらっとリードしてくれて、大人だな、と思った。

しかし繋ぎ方は恋人じゃなく普通のやつで、戸惑う私に幸人くんが笑いかけてくる。

「はぐれないようにしようね」

「う……うん」

手繋いでくれるのってはぐれ防止とかそういう理由……。私、小さい子と一緒じゃん。

がく、と落ち込んだものの、微妙に嬉しい気持ちが勝っていて気分は悪くなかった。

「あのさ、俺、どう?変じゃない?」

「え?変じゃないよ!」

むしろかっこいい……けど、そこまでは恥ずかしくて言えない。

幸人くんがほっとしたように笑った。

「よかった。俺、変って言われることが多いから、一緒にいるあなたまで変な人に思われたらどうしようって」

何気なく話された本音に、私は驚いた。

……幸人くん……そんなこと考えてたんだ。

ぐ、と繋いでいる手に力を込める。幸人くんがこちらを向いた瞬間、私は幸人くんを見上げて言った。

「かっこいいよ!幸人くん!あと私変だから、なんて思われても全然問題ないよ!ノープロブレム」

ちょっとだけカッコつけてみる。

幸人くんは、「……頼もしいね」と呟いて。

「ありがと」

私を見ながら表情をやわらげた。

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