第4話

pattern 2-クール
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2018/07/22 01:38
今日は、待ちに待った初デートの日。

ついみんなにそそのかされて浴衣着ちゃったけど……に、似合ってるといいな。

緊張しながら、駅前で彼氏の赤坂くんを待つ。

「っ!」

LIMEの着信音にビビってしまい、恥ず……とうなだれつつスマホを取り出す。

『着いた。どこ?』

あ、来たんだ!

『駅前の時計台の下だよー!!』

嬉しくなって文面もハイテンションになる。

赤坂くんからは、『了解』と冷静な返事が来た。

……クールだなぁ。やっぱり。

それからまもなく、赤坂くんの姿が前方に見えた。

「……ちょっと待って」

――浴衣着てる!?

遠目からでも分かるかっこよさにやられて、顔が熱くなる。目が離せなくて、ずっと見つめてしまっていた。

大分近付いたところで、赤坂くんがふと顔を上げ、目が合った。

ドキンッと心臓が跳ねた。

「……浴衣……」

ぼそりと赤坂くんが呟く。

か、かわいいとか……言ってくれるかな……。

「……よかった、お前も浴衣着てて。母さんに着せられたけど俺だけだったらどうしようかと思った」

淡い期待もむなしく、赤坂くんの口から漏れたのは安堵の言葉とため息。

赤坂くんがかわいいなんて言うような人じゃないとわかっていたが、わかっていても少し……かなり残念だった。

「うん。じゃあ、行く?」

「あぁ」

歩み出そうとした時、右手に何かが触れてきた。

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