第11話

pattern 4-無邪気
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2018/07/26 07:28
大分回ったので、何か食べようということになり、私はりんご飴を買うことにした。

食べやすさに難があるものの、やっぱりこれは美味しいのだ。

「んー、美味しっ!」

久しぶりの大好きな味を一口頬張れば、思わず感想が飛び出す。

くすっと凪くんが笑った。

「何?」

「いや、美味しそうに食べるセンパイ、可愛いなと思って」

ドキッとして、りんご飴の飴の部分が気管に入りかける。

慌てて口を空いた手で押さえ、慎重に飲み下した。

……急に大人びた表情しないでほしい……。

「てか、そんな美味しいなら一口もらいたいです」

「ん?いいよ。はい」

りんご飴を差し出すと、突然凪くんが口を閉ざした。

さっきまであんなに明るく喋っていたのに。何かしただろうかと、心の中が焦りで埋め尽くされる。

「凪くん?」

「……センパイ、普通すぎです」

「え?」

その言葉の意味を考えるより早く、凪くんはりんご飴を持つ私の手を上から自分の手で包み込んで、私が食べたのと同じ部分にかじりついた。

触れ合う手から伝わる凪くんの体温と、目の前まで迫った顔にドキッと胸が高鳴る。

凪くんはりんご飴から口を離し、私を少し上目遣いで見上げた。

「もうちょっとオレのこと、意識してくださいよ」

「っ……」

――私は今日、初めて赤くなった。

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