あなた「…ん、、」
目が覚めて、
わたしは身体を起こした。
今日、わたしは東京に行く。
まだ、早いな…
そう思ったけど、
もう一回寝る気にもなれなくて、
わたしはリビングに出た。
目に映ったのは、
花瓶にささった黄色い花。
昨日、みんなからもらった、
卒業祝いのお花。
わたしほんまに、
関西ジュニア、卒業したんや…
なんか信じられへんな。
涙が、溢れそうになった。
しっかりせな…
カーテンを開けても、
そとはまだ薄暗かった。
…寒いな、
着替えるか。
新幹線、まあまあ早い時間やし、
ゆっくり準備できてよかったかな、
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流「…、」
もう、朝やん。
こんな寝れへんかったん、久しぶりやな…
一晩中、
あなたのことばっかり考えて、
泣いて、
…何してんねやろ、ほんまに。
あなた、いつ東京行っちゃうんやろ、
なんも、聞けへんかったな。
なんも、伝えられなかったな…
じーこなら、知っとるかな、
いつ東京行くとか。
そう思って、
俺はスマホを開いた。
…あれ、、
じーこから電話きとった、
スマホぜんぜん気にしてへんかったな。
…かけて大丈夫かな。
そう思いながらも、
俺はじーこに電話をかけると、
思ったよりすぐに、電話に出てくれた。
流「ごめんな、朝早くに。電話、どうしたん?」
康 " いや、俺も早い時間やったし。あんな、あなたやねんけど、 "
タイムリーやな、
康 " 今日、行くらしいねん。 "
流「え…?」
うそやん、
そんなにはやいん…?
康 " マネージャーさんに話聞いてさ。流星、お見送り行かんでいいんかなって。 "
流「…行っても、ちゃんと向き合えへんわ」
康 " 流星来たら喜ぶと思うけどな。 "
…そうかな、
康 " 8時くらいの新幹線やって。 "
8時、か、
流 " 間に合わへんかも、 "
康「大丈夫やから。とりあえず支度して外でてき!」
大丈夫って、
どういうこと…?
そう聞く間も無く、
電話は切れてしまった。
…あなた、
行っちゃうんや。
卒業、しちゃったもんな。
さよならって、
ちゃんとしたら、
気持ち、整理つくかな。
色々考えるうちに、
時間はどんどんすぎていった。
どんなに急いでも、
もう間に合わんよな。
なんてことを考えていたら、
また、電話が鳴った。
え、丈くん?
流「もしもし…?」
丈 " 流星っ、何してるん?早よせな間に合わんで!!なんでもいいからさっさと降りてき!待ってるから。 "
…待ってる、?
流「え、丈くん、下おるんですか…」
丈 " 康二に頼まれた。駅近い人はもう向かってんで。でもな、流星がおらんと、意味ないないねん。辛いかもしれんけど、きっと行かへんかったら後悔する。 "
流「っ… わかりました。あと5分、待っててください。」
そうやんな、
ちゃんと、後悔せんようにしないと。
あなたに、
今までずっと言えへんかったこと、
ちゃんと伝えたい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。