第69話

episode68
1,885
2020/11/04 07:43

音源が止まったとき、

しんとする稽古場に響いたのは、



あなたの泣く声だった。







帝劇で見たあなたとは全然違う。


小さくて、

弱くて、

触れたら壊れてしまいそうな…




きっと今も、

…これまでも、


ずっとずっと、

不安で押しつぶされそうで。






気付いたら、

あなたの目の前にいた。



しゃがんで、


あなたを、

出来るだけ優しくぎゅっとした。




あなた「グズッ、…ヒック、うっ…グズッ、、ハァ、」



流「っ…」


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あのあと、

涙がほんとに止まらなくて。



コンタクト取れるし、

呼吸も変になるし、


もう最悪で。




マネージャーさんに家まで送ってもらって、


わたしはベッドの上で、

ひたすら、ぼーっとしていた。







…あの歌が、メロディーが、


頭から離れなかった。



" あなたがいるから "





" あなた "


って、誰のことかな。





…ファンの方たち、

そして、


一緒に頑張ってきた仲間。




最初に頭をよぎったのは、


流星の、きらきらした笑顔だった。



…眠くなってきた、






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目が覚めたとき、


わたしの身体には、


布団がかけられていて、

おでこには冷えピタ、きつく結んだ髪はほどかれていた。

お母さん、帰って来たんや。


…何時、?


3時、


スマホ、眩しい、



目を細めたその時、



流星からのLINEの通知が来た、と思ったら、



メッセージを消去しましたって。







やけに気になって、


わたしは流星に


なんかあった、?




と、送った。



すると、



起きてるん?って。



うん、と送ると、



電話がかかって来た。






あなた「もしもし、?」
流 " 寝れんの、?"
あなた「ううん、なんか、起きちゃった、」
流 " そっか、"
あなた「こんな時間に電話するん、ひさびさやな、」
流 " 覚えてる?いつかな、あなたが東京おるとき、明日休演日やからって夜から電話してさ、せめて1時までかなぁって言ってたのに、結局オールしちゃってさ笑 "
あなた「わ、…めっちゃ懐かしい、、カーテン開けたら普通に明るくて焦ってん笑 あの日さ、紫耀と廉と遊んでんけど、電車でも寝るしご飯食べながら寝るし、、めっちゃやばかった、」
流 " やば笑笑 なにをそんなに話してたんやろ笑 "
あなた「ほんまに、笑 懐かしいわ…」



電話越しに聞こえる流星の声は、


あの頃よりもすこし低くて、


なんだかすこし、寂しくなった。




時間の流れって、

なんでこんなに早いんやろ。






6年、

あっという間やし、

その中に、

色々詰まりすぎやし。








でも…


最近何度も感じるけど、

みんなとの関係は、

なんだかんだかわらんくて。





あなた「…ありがとうね、」
流 " え?何急に、笑 "
あなた「ううん、なんか、…なんやろ、笑 わからんけど、なんか言いたくなってさ、」
流 " …こっちこそ、いつもありがとう。"
あなた「っ…」


なぜか、

涙が一粒こぼれた。



わたし、

感謝されるようなことしてないよ。




あなた「…グズッ、」
流 " あなた、?"
あなた「グズッ…ヒック、、ごめ、、グズッ、なんでかな、最近…グズッ、すぐ涙出てくる、グズッ、」
流 " …不安なこととかあったら言ってな、?なんもできへんかもやけど。"
あなた「…今日、グズッ、…My dreamsで泣いちゃったとき、ヒック、グズッ、流星、来てくれて、グズッ、ぎゅって…安心した、グズッ」
流 " ほんま、?よかった… "

やっぱり、流星のそばが一番落ち着く。

会うたびに、

そう思う。




あなた「…流星、」
流 " ん、?"
あなた「…ううん、やっぱ、なんもない、」


わたしは、

流星の支えになれてる?



そんなこと、

ききたくても聴けない。




わたしは、

流星に、助けてもらってばっかりだ。





自分が、

すごく、不甲斐なくかんじた。




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