音源が止まったとき、
しんとする稽古場に響いたのは、
あなたの泣く声だった。
帝劇で見たあなたとは全然違う。
小さくて、
弱くて、
触れたら壊れてしまいそうな…
きっと今も、
…これまでも、
ずっとずっと、
不安で押しつぶされそうで。
気付いたら、
あなたの目の前にいた。
しゃがんで、
あなたを、
出来るだけ優しくぎゅっとした。
あなた「グズッ、…ヒック、うっ…グズッ、、ハァ、」
流「っ…」
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あのあと、
涙がほんとに止まらなくて。
コンタクト取れるし、
呼吸も変になるし、
もう最悪で。
マネージャーさんに家まで送ってもらって、
わたしはベッドの上で、
ひたすら、ぼーっとしていた。
…あの歌が、メロディーが、
頭から離れなかった。
" あなたがいるから "
" あなた "
って、誰のことかな。
…ファンの方たち、
そして、
一緒に頑張ってきた仲間。
最初に頭をよぎったのは、
流星の、きらきらした笑顔だった。
…眠くなってきた、
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目が覚めたとき、
わたしの身体には、
布団がかけられていて、
おでこには冷えピタ、きつく結んだ髪はほどかれていた。
お母さん、帰って来たんや。
…何時、?
3時、
スマホ、眩しい、
目を細めたその時、
流星からのLINEの通知が来た、と思ったら、
メッセージを消去しましたって。
やけに気になって、
わたしは流星に
なんかあった、?
と、送った。
すると、
起きてるん?って。
うん、と送ると、
電話がかかって来た。
あなた「もしもし、?」
流 " 寝れんの、?"
あなた「ううん、なんか、起きちゃった、」
流 " そっか、"
あなた「こんな時間に電話するん、ひさびさやな、」
流 " 覚えてる?いつかな、あなたが東京おるとき、明日休演日やからって夜から電話してさ、せめて1時までかなぁって言ってたのに、結局オールしちゃってさ笑 "
あなた「わ、…めっちゃ懐かしい、、カーテン開けたら普通に明るくて焦ってん笑 あの日さ、紫耀と廉と遊んでんけど、電車でも寝るしご飯食べながら寝るし、、めっちゃやばかった、」
流 " やば笑笑 なにをそんなに話してたんやろ笑 "
あなた「ほんまに、笑 懐かしいわ…」
電話越しに聞こえる流星の声は、
あの頃よりもすこし低くて、
なんだかすこし、寂しくなった。
時間の流れって、
なんでこんなに早いんやろ。
6年、
あっという間やし、
その中に、
色々詰まりすぎやし。
でも…
最近何度も感じるけど、
みんなとの関係は、
なんだかんだかわらんくて。
あなた「…ありがとうね、」
流 " え?何急に、笑 "
あなた「ううん、なんか、…なんやろ、笑 わからんけど、なんか言いたくなってさ、」
流 " …こっちこそ、いつもありがとう。"
あなた「っ…」
なぜか、
涙が一粒こぼれた。
わたし、
感謝されるようなことしてないよ。
あなた「…グズッ、」
流 " あなた、?"
あなた「グズッ…ヒック、、ごめ、、グズッ、なんでかな、最近…グズッ、すぐ涙出てくる、グズッ、」
流 " …不安なこととかあったら言ってな、?なんもできへんかもやけど。"
あなた「…今日、グズッ、…My dreamsで泣いちゃったとき、ヒック、グズッ、流星、来てくれて、グズッ、ぎゅって…安心した、グズッ」
流 " ほんま、?よかった… "
やっぱり、流星のそばが一番落ち着く。
会うたびに、
そう思う。
あなた「…流星、」
流 " ん、?"
あなた「…ううん、やっぱ、なんもない、」
わたしは、
流星の支えになれてる?
そんなこと、
ききたくても聴けない。
わたしは、
流星に、助けてもらってばっかりだ。
自分が、
すごく、不甲斐なくかんじた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。